令和3年度の年金額はマイナス0.1%<年金額改定ルール>

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令和3年1月22日、令和3年度の老齢基礎年金と老齢厚生年金の支給額が公表されました。

新規裁定年金、既裁定年金ともに、改定率がマイナス0.1%となりました。

新既裁定年金
67歳になる年度まで支給される年金
既裁定年金
68歳になる年度から支給される年金

令和3年(2021年)度 新規裁定者の年金額

  • 老齢基礎年金(月額):65,075円
  • 老齢厚生年金(月額):220,496円

老齢基礎年金
20歳から59歳までの40年間国民年金に加入した場合の老齢基礎年金の満額支給額

老齢厚生年金
夫が賞与含む月額換算の平均標準報酬43.9万円で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった夫婦2人世帯が年金を受け取る場合の老齢基礎年金を含めた年金額(モデル年金)

年金額と改定率の推移(新規裁定年金)

年度改定率基礎年金厚生年金
H28(2016)0.0%65,008221,504
H29(2017)-0.1%64,941221,277
H30(2018)0.0%64,941221,277
R01(2019)+0.1%65,008221,504
R02(2020)+0.2%65,141220,724
R03(2021)-0.1%65,075220,496

年金額改定のルール

年金額改定の基本ルールは以下の通りになっています。

年金額改定の基本ルール

ベース改定率
(マクロ経済スライド調整前の改定率)

賃金変動率が物価変動率を上回る場合
 新規裁定年金:賃金変動率ベース
 既裁定年金 :物価変動率ベース

賃金変動率が物価変動率を下回る場合
 両裁定年金とも:賃金変動率ベース

日本の年金制度は「現役世代が納めた年金保険料が受給世代に年金として支給される」賦課方式で、賃金変動率が物価変動率を下回る場合は年金財政のバランスを考慮して、両裁定年金とも賃金変動率をベースに改定することになっています。

マクロ経済スライド調整
▷ベース改定率がマイナスまたはゼロの場合は適用されない
▷ベース改定率がプラスの場合も改定率がゼロを下回る適用はされない
▷適用されなかった調整率は次年度以降に繰り越す

(※)今サイトではマクロ経済スライド調整を加える前の改定率を「ベース改定率」としています

令和2年度まで、「賃金変動率が物価変動率を下回る場合、両裁定年金とも賃金変動率をベースに改定する」というルールについては、賃金変動率がマイナスになった場合に限り、現役世代・受給世代両方への影響を考慮して、マイナス幅を抑える、あるいはゼロ改定にするというような例外規定が設けられていました。

令和3年度からはその例外規定が撤廃され、基本ルール通りに改定されることになります。

平成3年度より年金額改定のルール変更、年金財政の安定が目的
毎年度の年金額は以下のルールで改定されています。新たにもらい始める人の年金すなわち新規裁定年金は賃金変動率をベースに、すでにもらっている人の年金すなわち既裁定年金は物価変動率をベー...

令和3年度の改定率

  • 令和3年度の参考指標
    • 物価変動率    0.0%
    • 賃金変動率   -0.1%
    • スライド調整率 -0.1%

令和3年度の参考指標は、賃金変動率が物価変動率を下回っているので、両裁定年金とも賃金変動率-0.1%がベース改定率になります。

令和2年度までの例外規定では改定率ゼロになるところでしたが、令和3年度は例外規定が撤廃されて賃金変動率-0.1%がベース改定率になります。

ベース改定率がマイナスになるのでマクロス経済スライド調整率は次年度以降に繰り越され、改定率は-0.1%になります。

これまでの年金改定率の推移

ベース改定率の推移

マクロ経済スライド調整が加わる前のベースとなる改定率は以下のように推移しています。

年度物価
変動率
賃金
変動率
適用
変動率
ベース
改定率
H28(2016)+0.8%-0.2%ゼロ0.0%
H29(2017)-0.1%-1.1%物価-0.1%
H30(2018)+0.5%-0.4%ゼロ0.0%
R01(2019)+1.0%+0.6%賃金+0.6%
R02(2020)+0.5%+0.3%賃金+0.3%
R03(2021)0.0%-0.1%賃金-0.1%

平成28年から令和3年度までずっと賃金変動率が物価変動率を下回っています。賃金変動率が物価変動率に追いついていないことになります。

本来は両裁定年金とも賃金変動率がベースとなるところですが例外規定が適用されています。

さらにマクロ経済スライド調整が加わります

年度ベーススラ
イド
実施実施
スラ
イド
実施
改定率
H28
(2016)
0.0%-0.7%しない0.0%
H29
(2017)
-0.1%-0.5%しない-0.1%
H30
(2018)
0.0%-0.3%繰越0.0%
R01
(2019)
+0.6%-0.2%する-0.3%
-0.2%
+0.1%
R02
(2020)
+0.3%-0.1%する-0.1%+0.2%
R03
(2021)
-0.1%-0.1%繰越-0.1%

マクロ経済スライド調整は、改定率がマイナスにならない範囲で適用する決まりですが、平成30年(2018)度より、将来世代の給付水準の確保や世代間での公平性を担保する観点から、適用しきれなかった調整率を、翌年度以降に繰越することになりました。

H30(2018)年度
ベース改定率が0.0%になり、スライド調整率-0.3%は次年度以降に繰越されました。

R01(2019)年度
ベース改定率が+0.6%になり、H30年度繰越分-0.3%とR01年度分-0.2%を適用しても改定率がマイナスにならないので、繰越分も含めて適用されました。実際の計算は、スライド調整率が、0.997×0.998、改定率が1.006×0.998×0.997=1.001となりますが、近似的に(+0.6%)+(-0.3%)+(-0.2%)=+0.1%として算出されます。

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まとめ

年金額の改定ルールはとても複雑です。

基本として、新規裁定年金は賃金変動ベース、既裁定年金は物価変動ベース

賃金変動が物価変動を下回る場合は、両裁定年金とも賃金変動ベース

マクロ経済スライド調整はベース改定率がプラスの場合に改定率がマイナスにならない範囲で適用される

適用されなかったマクロ経済スライド調整率は次年度以降に繰り越される