2019年10月、銀行業務検定試験「年金アドバイザー3級」を受験しました。
答え合わせをすると残念ながら数問間違っていました。
その中でも、(問37)在職老齢年金の問題がなぜ間違っているのかわからず調べてみました。
(問37)在職老齢年金の問題内容
- 昭和32年2月10日生まれ
- 63歳に達した日に、
44年10ヵ月勤務したV社を退社- 給与:月額450,000円
(標準報酬月額440,000円) - 賞与:年1回12月に1,800,000円、
この2年間は同額
- 給与:月額450,000円
- 令和2年4月から70歳まで、
U社に勤務する予定- 給与:月額238,000円
(標準報酬月額240,000円) - 賞与:6月と12月に
それぞれ360,000円
- 給与:月額238,000円
- V社退社後の年金
- 報酬比例部分:1,440,000円
- 定額部分:780,000円
以下の①~④の記述について、正しいものの数を問う問題です
- ①令和2年5月の基本月額は、
185,000円である。 - ②令和2年5月の総報酬月額相当額は、
390,000円である。 - ③令和2年6月の支給停止額は、
130,000円である。 - ④令和2年12月の在職老齢年金の額は、
82,500円である。
選択肢
(1)なし (2)1つ (3)2つ (4)3つ (5)4つ
私は、「(3)2つ」と答えて間違いました
私は②と③が正しいと考え、「 (3)2つ」と回答しました。
「みんなで作る解答速報」というサイトを見ると、やはり(3)を選択した人が一番多かったようです。
みんなで作る解答速報【解答速報】銀行業務検定(年金アドバイザー3級)(2019/10/27)
ところが、銀行業務検定協会の解答を見ると、選択肢「(1)なし」が正解になっていました。
①~④をひとつひとつ確かめてみます。
①令和2年5月の基本月額は、185,000円である
基本月額は、 報酬比例部分÷12で求めます。
- 基本月額
=144万÷12
=12万円
基本月額は120,000円となり、①は誤りです。
この人の場合、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は62歳で、令和元年3月分から支給が開始されます。V社在職中に支給開始となります。
44年以上加入して退職した場合、長期特例として、報酬比例部分+定額部分が支給されますが、在職している場合は、定額部分は支給されません。在職している限り、65歳になるまでは定額部分は支給されないことになります。
65歳になると、定額部分は老齢基礎年金となり、在職しても支給され、在職老齢年金の対象外になります。
ちなみに、設問にある185,000円は(1,440,000+780,000)÷12で算出され、定額部分をふくめて計算した数字になっています。
②令和2年5月の総報酬月額相当額は、390,000円である。
総報酬月額相当額は次の式で求めます。
- 総報酬月額相当額
=その月以前1年間の標準賞与額合計÷12
+その月の標準報酬額
私はこのように計算しました
- 総報酬月額相当額
=180万÷12+24万
=39万円
見事に引っかかりました。というか、知らなかったので仕方ありません。
標準賞与額上限は1ヶ月あたり150万円!
標準賞与額は賞与にかかる厚生年金保険料を計算するときにも用いられます。
受け取った賞与の額が1ヶ月につき150万円を超える場合は、標準賞与額を150万円として計算します。この場合、標準賞与額を180万円ではなく150万円で計算することになります。
- 総報酬月額相当額
=150万÷12+24万
=36.5万円
総報酬月額相当額は365,000円となり、②は誤りです。
③令和2年6月の支給停止額は、130,000円である。
私はこのように計算しました
- 総報酬月額相当額
=(180万+36万)÷12+24万
=42万円 - 支給停止額
=(12万+42万-28万)×1/2
=13万
支給停止額を130,000円と考え正しいと思いましたが、②と同じく賞与標準額は180万円ではなく150万円でした。
正しい算出式は…
- 総報酬月額相当額
=(150万+36万)÷12+24万
=39.5万円 - 支給停止額
=(12万+39.5万-28万)×1/2
=11.75万
支給停止額は117,500円となり、③は誤りです。
④令和2年12月の在職老齢年金の額は、82,500円である。
令和2年12月の在職老齢年金は以下の式で求まります。
- 総報酬月額相当額
=(36万+36万)÷12+24万
=30万円 - 支給停止額
=(12万+30万-28万)×1/2
=7万円 - 在職老齢年金
=12万-7万
=5万円
在職老齢年金は5万円となり、④は誤りです。
①~④すべて誤り、選択肢は(1)でした
私は以下のことを押さえていませんでした。
- 総報酬月額相当額を求めるときの賞与額は、「標準賞与額」を用いること
- 1ヶ月あたりの賞与額が150万円を超える場合、標準賞与額は150万円とすること
過去問集で過去4回の問題を解いていましたが、賞与額が150万円を超える問題はありませんでした。
見事に引っかかりました。