「選択制」確定拠出年金 仕組みとメリット・デメリット 

南アルプス 白峰三山 確定拠出年金
南アルプス 白峰三山

この記事は書きかけです

身内が、企業型確定拠出年金に加入することになりました。

相談を受けて資料を見ると「選択制確定拠出年金(選択制DC)」というものでした。

この「選択制DC」は、給与から「ライフプラン資金」などの名目で一定額を切り分け、その金額の中で、全額を給与として受け取るか、一部または全部を企業型DCの掛金とするかを従業員が選択する制度です。

会社にとっては、費用をあまりかけずに確定拠出年金を導入でき、社会保険料の会社負担分を軽減できることになります。

この「選択制DC」のしくみとメリット・デメリットを見ていきます。

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選択制DCのしくみ

選択制DCを導入すると、これまでの給与から「ライフプラン資金」などの名目で一定額が切り分けられることになります。ライフプラン資金の金額は会社ごとに定められます。

従業員はライフプラン資金から一部または全部を企業型DCに拠出することになります。また、全額を給与として受け取ることもできます。

例えば、選択制DCが導入され「ライフプラン資金」が4万円と定められると、これまでの給与から4万円が切り分けられます。

これまでの給与が25万円として、ライフプラン資金4万円の中から1万円を企業型DCに拠出すると、残りの3万円を給与として受け取ることになり、給与は24万円になります。

ライフプラン資金4万円を全額給与として受け取ると給与は25万円で変わりません。

選択制DCの場合は従業員自身で拠出金額を年1回変更することができます。

企業型DCに拠出した金額は、あくまでも会社が拠出する「事業主掛金」であり、給与天引きで拠出する「加入者掛金」ではありません。

受け取りについて

拠出した積立金は原則として60歳までは引き出しができません。

原則60歳から75歳までの希望する時期に、年金や一時金で受け取ることができます。

60歳に到達した時点で、10年間の加入期間があれば、受け取ることができます。

加入期間が10年に満たなかった場合は受取開始年齢が61歳から65歳となります。

拠出金額は最低賃金に注意が必要

選択制DCに資金を拠出すると給与額が減少しますが、その結果として最低賃金を下回らないように、拠出金額を決める必要があります。

精皆勤手当・家族手当・通勤手当・時間外手当などは、最低賃金を判定する賃金には含まれません。

役職手当も固定残業代として支払われている場合は含まれません。

拠出前の給与が25万円の例で拠出金がどこまで設定できるか計算してみます。

  • 拠出前の給与 25万円
     基本給   20万円
     精皆勤手当 3万円
     家族手当  2万円
     1ヵ月労働時間 160時間
  • 東京都最低賃金(令和4年10月1日~)
     時間額  1,072円

上記の場合、最低賃金を判定する場合は基本給のみが対象になります。

ライフプラン資金は基本給から切り分けられ、拠出しない金額は最低賃金を判定する給与となります。

拠出金額最低賃金
判定金額
時間額
(÷160時間)
判定
0万円20万円1,250.0円
1万円19万円1,187.5円
2万円18万円1,125.0円
3万円17万円1,062.5円

ライフプラン資金が4万円と設定されていても、上記の例では計算上28,000円程度までしか拠出できません。

社会保険料・税金が軽減される?

確定拠出年金の最大の目的は老後の資金を確保することですが、当面のメリットとして社会保険料と税金が軽減されることがあります。

SBI証券のサイトに掲載されている例で検証

SBI証券確定拠出年金>選択制の大きな節税メリットに掲載されている数値で検証します。

30歳で拠出前の給与が25万円の加入者が生涯設計手当のうち1万円を掛金として積み立てを始めた場合の負担軽減額が計算されています。

▼負担軽減の一例(年額)

 選択制DC加入前加入後負担軽減額
社会保険料453,516円419,184円34,332円
税金169,000円161,400円7,600円
合計622,516円580,584円41,932円
https://ad401k.sbisec.co.jp/corporate/feature/taxreduction/

厚生年金保険料率(2017年10月納付分以降固定)、健康保険料率(東京都 2022年4月納付分)、雇用保険料率(2022年10月納付分)で算出されています。

社会保険料を検証してみました。

▼社会保険料の検証

選択制DC加入前加入後
給与250,000円240,000円
標準報酬月額260,000円240,000円
厚生年金保険料
18.3%の1/2
23,790円21,960円
健康保険料
9.81%の1/2
12,753円11,772円
雇用保険料
給与の0.5%
1,250円1,200円
社会保険料(月額)37,793円34,932円
社会保険料(年額)453,516円419,184円

税金については検証していませんが、「1万円を掛金として積み立てを始めた場合、社会保険料と税金が年間41,932円軽減される」となっています。

負担軽減効果が得られない場合も

上記の計算は標準報酬月額が260,000円から240,000円になることによって実現される負担軽減額です。

拠出前の給与額と拠出後の給与額で標準報酬月額が変わらない場合、厚生年金保険料と健康保険料の軽減はありません。

例えば、給与額が23万円以上25万円未満で標準報酬月額240,000円になります。

拠出前の給与額が24.5万円で、1万円を拠出して給与額が23.5万円になった場合、標準報酬月額は240,000円で変わらず、厚生年金保険料と健康保険料の軽減はありません。

標準報酬額が2万円の幅で定められてい階級で社会保険料の負担軽減を必ず得るためには、拠出額を2万円以上にする必要があります。

上記のSBI証券確定拠出年金サイトには小さい字で以下の記述があります。

税金は掛金額に応じて負担軽減されますが、社会保険料は掛金額に応じて決定される「標準報酬月額」の変動による標準報酬等級のダウンによって起こり得るものです。 従って、加入者の収入と掛金額によっては効果が表れない場合もあります。

負担軽減による得と年金額減少による損

選択制DCに掛金を拠出して、標準報酬月額の等級が下がると社会保険料の負担軽減になりますが、一方で、将来の年金額が減ることになります。

この場合の損得について検討します。

条件として、30歳から60歳になるまで30年間月額2万円を選択制DCに拠出し、65歳から95歳まで老齢厚生年金を受け取るとします。

標準報酬月額は給与額により32等級に分かれていますが、1等級の幅は6,000円~30,000円になっています。

ここでは、月額2万円を選択制DCに拠出することで、標準報酬月額が1等級ダウンして20,000円下がるとします。

この項については、以下のサイトを参考にしました。

https://money-bu-jpx.com/news/article035943/

保険料納付期間30年間の「得」

「あくまで一例ですが、『30歳』『独身』『年収500万円(税込)』『毎月2万円を拠出』という条件で、計算してみましょう」

  • 1年間の負担の減額分
    所得税の節税金額   1万6000円
    住民税の節税金額   1万5700円
    社会保険料の負担減額 3万4600円
    合計         6万6300円

上記の条件では、1等級ダウンし標準報酬月額が20,000円下がるとして、年間66,300円負担軽減があることになります。

年金受給期間30年間の「損」

平成15年以降の総報酬制が導入されて以降の厚生年金報酬比例額を算出する式は以下の通りになります。

  • 厚生年金報酬比例額(年額)
    =平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数

30歳から60歳になるまでの30年間、1等級ダウンし標準報酬月額が20,000円下がるとして、

  • 厚生年金報酬比例額(年額)
    =(▲20,000円)×5.481/1000×360
    =▲39,463円

65歳から90歳になるまでの30年間で年間約40,000円年金額が減少します。

明らかに数字的には「得」です

上記設定では、選択制DCの加入期間と厚生年金受給期間が30年間で等しいので、負担軽減額が年金減少額を上回り、選択制DCに20,000円拠出したほうが明らかに「得」ということになります。

ただし、標準報酬月額22万円以上の階級では1等級の幅が2万円に、標準報酬月額38万円以上の階級では2.5万円~3万円になり、この幅を超えて等級ダウンがないと社会保険料の負担軽減がないので注意が必要です。

等級ダウンがない場合は社会保険料の負担軽減がありませんが、厚生年金については年金額減少がないので、「等級ダウンがなければ損」というわけではありません。

いずれにしても、2万円×360ヵ月=720万円が積み立てられるので、「得」以外ないことになります。

企業型DCの運用の見通しは…

この項は書きかけです