公的年金財政について調べてみました その1.資金の流れ

北アルプス 黒部五郎岳年金財政

公的年金の財政の仕組みを調べています。

厚生労働省からは、いろいろな観点からまとめた収支状況が発表されています。

ここでは、公的年金の単年度収支状況【年金財政の観点から制度横断的に比較・分析したもの】という表を参考にして調べてみました。

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公的年金の単年度収支状況 令和元(2019)年度

今回、年金財政の仕組みを考える際に参考にした表です。

年金収支2019

https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000807339.pdf

会計単位

  • 厚生年金
    • 厚生年金勘定
    • 国家公務員共済組合
    • 地方公務員共済組合
    • 私立学校教職員共済
  • 国民年金
    • 国民年金勘定
    • 基礎年金勘定

厚生年金全体と国民年金勘定・基礎年金勘定を抜粋しました

原表から、厚生年金全体・国民年金勘定・基礎年金勘定を抜粋しました。

また、厚生年金実施機関の間でやり取りされる①②③の項目を除きました。

大まかな資金の流れ

大まかな資金の流れを図に表しました。

厚生年金実施機関は厚生年金保険料を、国民年金勘定は国民年金保険料を収受します。合わせて国または地方公共団体から国庫公経済負担金を受け入れます。

その国庫公経済負担金には基礎年金拠出金のおよそ2分の1に相当する金額が含まれています。

厚生年金実施機関・国民年金勘定からは、残りの負担額を上乗せした基礎年金拠出金が基礎年金勘定に拠出されます。

基礎年金勘定からは基礎年金拠出金を元に公的年金制度の1階部分にあたる基礎年金が支給されます。

厚生年金実施機関からは公的年金制度の2階部分にあたる厚生年金(おもに報酬比例部分)が支給されます。

公的年金資金の流れ

厚生年金(各共済組合含む)

  • 厚生年金保険料を収納(37.7兆円)
  • 基礎年金拠出金に充当される国庫公経済負担金を受入(11.2兆円)
  • 厚生年金を給付(29.2兆円)
  • 基礎年金拠出金を基礎年金勘定に拠出(21.5兆円)

国民年金勘定

  • 国民年金保険料を収納(1.3兆円)
  • 基礎年金拠出金に充当される国庫公経済負担金を受入(1.8兆円)
  • 基礎年金拠出金を基礎年金勘定に拠出(3.1兆円)

基礎年金勘定

  • 厚生年金と国民年金勘定から基礎年金拠出金を受入(24.6兆円)
  • 基礎年金を給付(23.3兆円)

公的年金全体

公的年金制度全体
国庫公経済負担金は「追加費用」をふくむ

国庫公経済負担金13.5兆円のうち12.8兆円は国の一般会計から支給されています。

令和元年の国の一般会計の歳出総額は約101兆円で、そのうち13兆円弱が年金支給に使われていることになります。

老齢基礎年金の半分は税金から

すべての公的年金加入者は、65歳から、いわゆる1階部分に当たる老齢基礎年金を受給することになりますが、その金額の少なくとも2分の1は税金が充当されています。

厚生年金加入者は、老齢基礎年金に上乗せして厚生年金の報酬比例部分が支給されますが、老齢基礎年金の2分の1は税金が充当されています。

令和3年度老齢基礎年金の満額は月額65,075円ですが、その半額は税金から支給されていることになります。

また、例えば国民年金保険料の全額免除期間が10ヵ月ある場合、保険料を5ヵ月分納付したことして老齢基礎年金額が計算されますが、その5ヵ月分の年金は税金から支給されていることになります。

基礎年金給付額23.3兆円のうち、13.5兆円が税金で賄われています。

国民年金保険料の未納期間がある場合は、その期間の税金による支給分をもらえないことになります。

用語の説明

  • 基礎年金拠出金
    公的年金の1階部分にあたる基礎年金は基礎年金勘定から給付されるが、その原資は厚生年金各機関・国民年金勘定から基礎年金勘定に基礎年金拠出金として納付・繰入される。
  • 国庫・公経済負担
    国庫または地方公共団体から厚生年金各機関・国民年金勘定に、基礎年金拠出金の2分の1に相当する額が納付・繰入される。さらに、厚生年金の各機関には昭和36年4月前の加入期間に係る給付に要する費用の一定割合に相当する額が、国民年金勘定には国民年金の保険料免除期間に係る基礎年金給付費が、納付・繰入される。
  • 追加費用
    国共済と地共済の制度発足前の恩給公務員期間等に係る給付費について、国又は地方公共団体等が負担している追加費用
  • 基礎年金交付金・基礎年金相当給付費
    昭和61年度の基礎年金制度導入前の国民年金及び被用者年金の給付費のうち、昭和36年4月以降の加入期間に基づき支給される基礎年金に相当する給付費に充てる分として、基礎年金勘定から国民年金勘定及び厚生年金各機関に基礎年金交付金として繰り入れられ、基礎年金相当給付費=みなし基礎年金給付費として支給される。
  • 職域等費用納付金
    平成9年に厚生年金に統合された旧三公社共済の共済年金の一部費用に充てる分として旧三公社共済の存続組合により厚生年金勘定に納付された金額。
  • 解散厚生年金基金等徴収金
    厚生年金基金が解散または確定給付企業年金に移行する際、国に引き継がれる厚生年金代行部分が厚生年金勘定に納付された金額
  • 独立行政法人福祉医療機構納付金
    旧年金資金運用基金が行っていた年金住宅融資等債権の管理・回収業務を平成18年度以降は独立行政法人福祉医療機構が承継しており、当該業務で回収された回収金が厚生年金勘定に納付された金額。