【2026年度版】厚労省発表の厚生年金額を実際に算出してみました

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令和8年1月23日、厚労省より令和8年度の老齢基礎年金と老齢厚生年金の年金額が発表されました。

老齢厚生年金の年金額として月額237,279 円が提示されています。

これは、夫が賞与含む月額換算の平均標準報酬45.5万円で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった場合の、夫婦二人分の年金額で、夫の老齢厚生年金報酬比例額と二人分の老齢基礎年金額の合計となっています。(モデル年金)

この老齢厚生年金(モデル年金)の金額を実際に算出して確かめてみます。

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令和8年度 基礎年金額(月額)

20歳から59歳までの40年間国民年金に加入した場合の老齢基礎年金の満額支給額(月額)です。

  • 65~70歳 70,608円(+1,300円)
  • 71歳以上  70,408円(+1,300円)

基礎年金については以下の記事を参照してください。

【2026年度版】厚労省発表の基礎年金額を実際に算出してみました
令和8年1月23日に令和8年度の年金額が厚労省より公表されました。65歳から支給される年金を新規裁定年金、68歳になる年度から支給される年金を既裁定年金といいます。1階部分にあたる...

厚生年金報酬比例額の算出方法

厚生年金報酬比例額には「本来水準の年金額」と「従前額保障の年金額」の2通りの方法があり、金額の大きい方が採用されます。

提示された厚生年金(モデル年金)の夫の厚生年金報酬比例額は、(1)本来水準総報酬制導入後の式(赤枠)で算出されています。

報酬比例額

実際の算出方法

報酬月額は保険料額表の「標準報酬月額」として、賞与額は1000円未満を切り捨てた「標準賞与額」として記録し、年度ごとに合計します。

厚生年金保険料率(PDF)

年度ごとの標準報酬額の合計に年度ごとの再評価率を乗じて換算標準報酬額を算出します。

  • 換算標準報酬額
    =標準報酬額×年度ごとの再評価率

報酬額換算例(再評価率は令和7年度)

年度月数標準報酬額再評価率換算
標準報酬額
H20124,000,0001.0234,092,000
H21124,200,0001.0364,351,200
H22124,400,0001.0444,593,600

令和7年度再評価率表(PDF)

換算標準報酬額を合計し、それを加入月数で割って平均標準報酬月額を算出します。

  • 平均標準報酬月額
    =換算標準報酬額合計÷加入月数

平均標準報酬月額には再評価率が織り込まれていることになります。

この平均標準報酬月額と加入月数から、以下の式で厚生年金報酬比例額を算出します。

  • 厚生年金報酬比例額(年額)
    =平均標準報酬月額
      ×5.481/1000×加入月数

ちなみに、「平均標準報酬月額×加入月数=換算報酬額合計」なので、結局、

  • 厚生年金報酬比例額(年額)
    =換算標準報酬額合計×5.481/1000

となります。

再評価率について

再評価率は年金改定率によって年度ごとに改定されます。

  • 新年度再評価率
    =前年度再評価率×年金改定率

年金改定率

  • 令和7年度
    +1.9%(1.019)
  • 令和8年度
    基礎年金:+1.9%(1.019)
    厚生年金:+2.0%(1.020)

再評価率

以下は、モデル年金の厚生年金報酬比例額を算出する際の再評価率の推移です。

  • 令和6年度:0.926
    (令和6年財政検証でリセットされた)
  • 令和7年度
    0.926×1.019=0.944
  • 令和8年度
    0.944×1.020=0.963

年金改定率については以下の記事を参照してください。

【2026年度版】令和8年度年金額、マクロ経済スライド適用、基礎年金は+1.9%、厚生年金報酬比例額は+2.0%
令和8年1月23日、厚労省より令和8年度の老齢基礎年金と老齢厚生年金の改定率が発表されました。令和8年度はマクロ経済スライド調整が適用され、1階部分の老齢基礎年金が+1.9%、2階...

夫の厚生年金報酬比例額

令和8年度のモデル年金の夫の報酬比例額は、40年間の平均月額報酬を45.5万円、再評価率を0.963として算出されています。

  • 夫の報酬比例額(年額)
    =455,000×0.963×5.481/1000×480
    =1,152,760円
    (1円未満四捨五入)
  • 夫の報酬比例額(月額)
    =1,152,760円÷12
    =96,063円
    (1円未満切り捨て、ただし切り捨てた金額は合計して2月に加算される)

夫婦2人分の年金(モデル年金)

令和8年度厚労省発表の厚生年金額237,279円は、夫の厚生年金報酬比例額と夫婦二人分の基礎年金の合計金額になっています。

報酬比例額96,063+基礎年金額70,608×2
=237,279円

厚労省発表の金額が算出されました。

夫の報酬比例額の推移

年度(前年再)前年再評価率
(当年改)当年改定率
(当年再)当年再評価率
(年)報酬比例額年額
(月)報酬比例額月額
R03
2021
(前年再)0.940(当年改)0.999
(当年再)0.940×0.999=0.939
(年額)438,860×0.939×5.481/1000×480
 =1,084,158円 
(月) 90,346円
R04
2022
(前年再) 0.939(当年改)0.996
(当年再)0.939×0.996=0.935
(年額)438,860×0.935×5.481/1000×480
 =1,079,540円 
(月額) 89,961円
R05
2023
(前年再) 0.935(当年改)1.022
(当年再)0.935×1.022=0.956
(年額)438,860×0.956×5.481/1000×480
 =1,103,786円 
(月額) 91,982円
R06
2024
(前年再) 0.956(当年改)1.027
(当年再)0.956×1.027=0.982
(年額)438,860×0.982×5.481/1000×480
 =1,133,805円 
(月額) 94,483円
2024年財政検証でリセット
R06
2024
(当年再)0.926
(年額)455,000×0.926×5.481/1000×480
 =1,108,469円 
(月額)92,372円
R07
2025
(前年再) 0.926(当年改)1.019
(当年再)0.926×1.019=0.944
(年額)455,000×0.944×5.481/1000×480
 =1,130,016円 
(月額) 94,168円
R08
2026
(前年再) 0.944(当年改)1.020
(当年再)0.944×1.020=0.963
(年額)455,000×0.963×5.481/1000×480
 =1,152,760円 
(月額) 96,063円

夫婦二人モデル年金額の推移

モデル年金額
基礎年金額×2+夫の厚年報酬比例額

年度モデル年金額
R03(2021)65,075×2+90,346=220,496
R04(2022)64,816×2+89,961=219,593
R05(2023)66,250×2+91,982=224,482
R06(2024)68,000×2+94,483=230,483
2024年財政検証でリセット
R06(2024)68,000×2+92,372=228,372
R07(2025)69,308×2+94,168=232,784
R08(2026)70,608×2+96,063=237,279

多様なライフコースに応じた年金額

厚労省発表の厚生年金額(モデル年金)は、「妻が40年間専業主婦」という仮定で算出される夫婦二人分の年金額で、これは現代の状況を反映していません。

そこで、厚労省は「多様なライフコースに応じた年金額」を同時に発表しています。

多様なライフコースに応じた年金額
https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/001639615.pdf

再評価率に注目

再評価率は報酬年度ごとに定められていて、過去の標準報酬に再評価率を乗じて現在の手取り賃金水準に換算します。

  • 換算標準報酬額
    =標準報酬額×年度ごとの再評価率

令和7年度再評価率(PDF)

この再評価率は、支給年度ごと年金改定率によって改定されます。

  • 再評価率
    =前年度再評価率×年金改定率

新規裁定(65歳~67歳)の厚生年金報酬比例額の年金改定率は以下の式で定められています。

  • 年金改定率(報酬比例額)
    =名目手取り賃金変動率
    ×マクロ経済スライド調整率

    (調整は賃金変動率がプラスの場合に限る)

新規裁定年金は現役世代の賃金変動率に準じて改定されるのが原則ですが、実際はマクロ経済スライド調整率が織り込まれるので、結果的に、現役世代の賃金変動率以下になります。

令和8年度の場合、本来の賃金変動率は+2.1%(×1.021)ですが、マクロ経済スライド調整率-0.1%により、再評価率は+2.0%(×1.020)になっています。

例えば、-0.2%のマクロ経済スライド調整が3年続けば、0.998×0.998×0.998=0.994となり、現役世代の賃金変動率より0.6%低い賃金水準で年金額が計算されることになります。

なお、68歳になる年度から受給する「既裁定年金」は、原則物価変動率ベースで改定され、賃金変動率が物価変動率を下回る場合は賃金変動率ベースで改定されるので、やはり現役世代の賃金変動率以下になります。

マクロ経済スライドについて

マクロ経済スライド調整については、基礎年金財政と厚生年金財政のそれぞれについて収支が均衡するまで実施されることになっています。

ところが、厚生年金報酬比例部分は収支が均衡し直近で調整が終了するのに対し、基礎年金は当分の間調整が続く見通しで、基礎年金の給付水準が大幅に下がってしまう懸念があります。

そこで、令和7年の年金制度改正で、令和11年の次回の財政検証で基礎年金財政が改善しない場合、基礎年金と厚生年金のマクロ経済スライドを同時に終了させる措置をとることが決まりました。

令和7年の改正では同時終了が決まりませんでしたが、令和11年に判断することになりました。

それまで厚生年金の調整を延長することになったので、厚生年金の調整を緩和する措置がとられています。

令和8年度については、調整率が基礎年金-0.2%に対し、厚生年金報酬比例部分-0.1%になっています。

結果、年金改定率は基礎年金が+1.9%、厚生年金報酬比例部分が+2.0%になりました。

参考資料

▼厚生労働省サイト

令和8年度の年金額改定について

将来の基礎年金の給付水準の底上げ