【2022年度版】年金額はマイナス0.4%、マクロ経済スライドは次年度以降に繰り越し

北アルプス 双六岳への道 年金額年度改定

令和4年1月21日、令和4年度の老齢基礎年金と老齢厚生年金の支給額が公表されました。

新規裁定年金、既裁定年金、ともに改定率がマイナス0.4%となりました。

マクロ経済スライド調整率はマイナス0.2%ですが、昨年度の繰越分とあわせてマイナス0.3%が、規定により次年度以降に繰り越しとなりました。

令和4年度の年金額はどのように改定されているかを調べました。

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令和4年1月21日 厚労省発表

毎年1月に新年度の老齢年金の年金額改定率が厚生労働省より発表されます。今年も1月21日に令和4年度の年金額が発表されました。

令和4年(2022年)度 新規裁定者(67歳以下の人) の年金額

  • 年金額は0.4%の引き下げ
  • 老齢基礎年金(月額):64,816円
  • 老齢厚生年金(月額):219,593円

老齢基礎年金
20歳から59歳までの40年間国民年金に加入した場合の老齢基礎年金の満額支給額

老齢厚生年金
夫が賞与含む月額換算の平均標準報酬43.9万円で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった夫婦2人世帯が年金を受け取る場合の老齢基礎年金を含めた年金額(モデル年金)

年金額と改定率の推移(新規裁定年金)

年度改定率基礎年金厚生年金
H28(2016)0.0%65,008221,504
H29(2017)-0.1%64,941221,277
H30(2018)0.0%64,941221,277
R01(2019)+0.1%65,008221,504
R02(2020)+0.2%65,141220,724
R03(2021)-0.1%65,075220,496
R04(2022)-0.4%64,816219,593

年金額改定のルール

年金額改定の基本ルールは以下の通りになっています。

年金額改定の基本ルール

ベース改定率
(マクロ経済スライド調整前の改定率)

 賃金変動率>物価変動率
  新規裁定年金 :賃金変動率ベース
  既裁定年金  :物価変動率ベース

 賃金変動率<物価変動率
  両裁定年金とも:賃金変動率ベース

新規裁定年金とは、新たに年金を受給し始める人の年金です。既裁定年金とはすでに年金を受給している人の年金です。

新規裁定年金は賃金変動率ベースで、既裁定年金は物価変動率ベースで改定するのが原則ですが、賃金変動率が物価変動率を下回る場合は、現役世代の負担を考慮して、既裁定年金も賃金変動率ベースで改定することになります。

マクロ経済スライド調整
現役人口の減少や平均余命の伸びに合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。
▷ベース改定率がマイナスまたはゼロの場合は適用されない
▷ベース改定率がプラスの場合も改定率がゼロを下回る適用はされない
▷適用されなかった調整率は次年度以降に繰り越す

(※)今サイトではマクロ経済スライド調整を加える前の改定率を「ベース改定率」としています

令和2年度までは例外規定あり

物価も賃金も下落して賃金の下落率が物価の下落率より大きい場合、これまでは受給者への影響を考慮して両裁定年金とも物価下落率に応じて年金を減額していましたが、平成3年度以降は基本ルール通り賃金下落率に応じて減額することになりました。

2021年度より年金額改定ルールが変更されました、年金財政の安定が目的
毎年度の年金額は以下のルールで改定されています。新たにもらい始める人の年金すなわち新規裁定年金は賃金変動率をベースに、すでにもらっている人の年金すなわち既裁定年金は物価変動率をベー...

令和4年度改定率「マイナス0.4%」は賃金変動率

  • 令和4年度の参考指標
    • 物価変動率   -0.2%
    • 賃金変動率   -0.4%
    • スライド調整率 -0.3%

令和4年度の参考指標は、賃金変動率が物価変動率を下回っているので、新既裁定年金・既裁定年金ともに、賃金変動率-0.4%がベース改定率になります。

令和2年度までの例外規定では改定率は物価変動率の-0.2%になるところでしたが、令和3年度以降は例外規定が撤廃されてたので、賃金変動率-0.4%がベース改定率になります。

マクロス経済スライド調整率は令和4年度分は-0.2%ですが、昨年度の繰越分-0.1%とあわせて-0.3%になります。ただし、マクロスライド調整はベース改定率がゼロまたはマイナスのときは適用されないので、次年度以降に繰り越されます。

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これまでの年金改定率の推移

ベース改定率の推移

マクロ経済スライド調整が加わる前のベースとなる改定率は以下のように推移しています。

年度物価
変動率
賃金
変動率
適用
変動率
ベース
改定率
H28(2016)+0.8%-0.2%ゼロ0.0%
H29(2017)-0.1%-1.1%物価-0.1%
H30(2018)+0.5%-0.4%ゼロ0.0%
R01(2019)+1.0%+0.6%賃金+0.6%
R02(2020)+0.5%+0.3%賃金+0.3%
R03(2021)0.0%-0.1%賃金-0.1%
R04(2022)-0.2%-0.4%賃金-0.4%

平成28年から令和4年度までずっと賃金変動率が物価変動率を下回っています。賃金変動率が物価変動率に追いついていないことになります。

本来は両裁定年金とも賃金変動率がベースとなるところですが例外規定が適用されています。

さらにマクロ経済スライド調整が加わります

年度ベーススラ
イド
実施実施
スラ
イド
実施
改定率
H28
(2016)
0.0%-0.7%しない0.0%
H29
(2017)
-0.1%-0.5%しない-0.1%
H30
(2018)
0.0%-0.3%繰越0.0%
R01
(2019)
+0.6%-0.2%
計-0.5%
する-0.5%+0.1%
R02
(2020)
+0.3%-0.1%する-0.1%+0.2%
R03
(2021)
-0.1%-0.1%繰越-0.1%
R04
(2022)
-0.4%-0.2%
計-0.3%
繰越-0.4%

平成30年(2018)度より、将来世代の給付水準の確保や世代間での公平性を担保する観点から、適用しきれなかった調整率を、翌年度以降に繰越することになりました。

R01(2019)年度
ベース改定率が+0.6%になり、H30年度繰越分-0.3%とR01年度分-0.2%を適用しても改定率がマイナスにならないので、繰越分も含めて適用されました。実際の計算は、スライド調整率が、0.997×0.998、改定率が1.006×0.998×0.997=1.001となりますが、近似的に(+0.6%)+(-0.3%)+(-0.2%)=+0.1%として算出されます。

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まとめ

年金額の改定ルールは、基本、新規裁定年金は賃金変動ベース、既裁定年金は物価変動ベースです。

ただし、賃金変動が物価変動を下回る場合は、両裁定年金とも賃金変動ベースになります。

令和元年から4年連続で賃金変動ベースの改定が続いています。

賃金変動が物価変動に追いついていない日本の現状を反映しています。