公的年金「2024年財政検証」について

南アルプス赤石岳 財政検証2024
南アルプス赤石岳

厚生年金保険法及び国民年金法の規定により、少なくとも5年ごとに、国民年金及び厚生年金の財政の現況及び見通しの作成、いわゆる「財政検証」が実施されます。

2019年から5年ぶりに「2024年財政検証」が行われ、夏ごろに結果が公表される予定です。

この記事では、2024年4月16日に開催された「第14回社会保障審議会年金部会」で配布された資料を元に、今回の財政検証の内容とそれと同時に行われるオプション試算について取り上げます。

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今回の条件設定について

財政検証では、今後の人口や経済状況を複数のパターンに設定して、現状の制度を継続した場合の、およそ100年後までの給付水準の見通しが示されます。

前提の設定

人口、労働力、経済の今後について様々に仮定して検証します。

  • 人口の前提
    • 低位
    • 中位
    • 高位
  • 労働力の前提
    • 成長実現・労働参加進展
    • 成長率ベースライン・労働参加漸進
    • 一人当たりゼロ成長・労働参加現状
  • 経済の前提
    • 成長実現
    • 長期安定
    • 現状投影
    • 一人当たりゼロ成長

社会保障審議会年金部会 資料

第14回社会保障審議会年金部会(2024年4月16日実施)に提出された資料から抜粋しました。

財政検証基本的枠組み

オプション試算(案)について

現状の制度を継続した場合の試算に加え、社会保障審議会で提言された制度変更を実施した場合の「オプション試算」も提示されます。

4月現在、次のような制度変更が提言され、それに対するオプション試算が行われる予定です。

オプション試算の内容

  • 被用者保険の更なる適用拡大
    被用者保険の適用対象となる事業所の規模を見直した場合、短時間労働者の加入要件を見直した場合、一定以上働く被用者を全て適用対象とした場合などで試算
  • 基礎年金の拠出期間延長・給付増額
    国民年金の保険料拠出期間を現行の40年間から65歳までの45年間に延長し、拠出期間が伸びた分に合わせて1階部分の基礎年金を増額した場合で試算
  • マクロ経済スライドの調整期間の一致
    1階部分の基礎年金のマクロ経済スライドの終了時期が2階部分の厚生年金に比較して大きく遅れる見込みになっていることに対し、厚生年金の財源を基礎年金に振り向けてマクロ経済スライドの終了時期を一致させた場合で試算
  • 在職老齢年金制度
    65歳以上の厚生年金加入者を対象に一定以上の賃金を得ている場合に老齢厚生年金の一部または全部を停止する「在職老齢年金制度」を見直した場合で試算
  • 標準報酬月額の上限
    現在の標準報酬月額は1等級(8万8千円)から32等級(65万円)までに分かれているが、上限を見直して高所得者が支払う保険料の上限を引き上げた場合で試算

社会保障審議会年金部会 資料

第14回社会保障審議会年金部会(2024年4月16日実施)に提出された資料から抜粋しました。

財政検証オプション試算

まとめ

今回の財政検証にあたって、2022年10月25日を第1回として、2024年4月までに14回の「社会保障審議会年金部会」が実施されています。

その中で公的年金制度について様々な課題が議論されてます。

上記のオプション試算の条件となっている制度変更に加え、遺族年金制度、加給年金制度、第3号被保険者制度などの問題点や改革案が議論されています。

財政検証の結果は夏頃に公表されるようですが、それに合わせて、年金制度改革について様々な提言がされるものと思われます。

厚生労働省社会保障審議会年金部会