日本の公的年金は、現役世代の保険料で毎年の年金給付を賄う賦課方式です。保険料を財源の基本としており、基礎年金に国庫負担を組み入れて毎年の年金給付にあてています。
現在は、年金特別会計の剰余金が年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) の管理運用する積立金に繰り入れられ、運用も比較的順調に推移し、積立金が積み上がっています。
今後、少子高齢化がさらに進行することが見込まれ、積立金は将来世代の給付水準を確保するために活用されることになります。
寄託金と運用資産
寄託金とは
寄託金とは、年金特別会計からGPIFに運用を委託される資金です。
2021年度、GPIFは寄託金として1兆1758億円を受け入れ、200億円を償還しました。結果として、2021年度末に、寄託金は1兆1558億円増えたことになります。
寄託金の入出とは別に、GPIFからは年金特別会計には、納付金として7500億円が納付されています。
2021年度 年金特別会計・GPIF
寄託金・運用資産
2001年3月、それまで年金積立金を運用していた年金福祉事業団が廃止され、同年4月1日に年金資金運用基金へ改組されました。
2006年3月、その年金資金運用基金も廃止され、同年4月1日に設立された年金積立金管理運用独立行政法人が年金積立金の管理・運用業務を引き継ぎました。
データは、年金資金運用基金の運用が始まった2001年度の年度末データから始まっています。
グラフのポイント
- 2008年度
サブプライムローン問題から起きたリーマンショックにより運用資産が下落して寄託金を割り込んでいます。 - 2012年度~
2012年12月に第2次安倍政権が発足し、アベノミクスの影響で運用資産が順調に伸びています。 - 2014年度
2014年10月31日より基本ポートフォリオを変更しました。国内株式・外国株式をそれぞれ12%から25%に変更し、株式のウェートを大幅に増やしました。 - 2019年度
第4四半期、2020年に入って、新型コロナの世界的な感染を受け、国内外の株式市場は大幅に下落し、運用資産も年度末にかけて下落しました。 - 2020年度
株式市場は新型コロナの影響による下落から大幅に回復し、運用資産も大きく伸びました。
元データ
寄託金
令和2年度年金積立金の運用状況について
https://www.mhlw.go.jp/content/000835822.pdf
寄託金の推移はGPIFの開示資料には見当たりませんでした。上の資料は厚生労働省の開示資料です。
運用資産
GPIF 2021年度 業務概況書
https://www.gpif.go.jp/operation/21434948gpif/2021_4Q_0701_jp.pdf
P24 市場運用開始(2001年度)からの運用資産額
運用資産額・資産構成割合[EXCEL:16KB]