国民年金免除の追納は84歳で元がとれます、損得は微妙です…2019/9/27追記

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私は平成21年(2009年)2月に早期退職し、3月より妻とともに国民年金1号になりました。

同4月より、失業保険をもらいつつ職業訓練校に1年通い、平成22年(2010年)11月より個人事業を開業し、現在(2018年)に至っています。

個人事業といってもまったく事業として成り立っていません。国民年金保険料免除制度の手続きを取り、平成22年4月から保険料免除を受けました。

平成26年(2014年)8月に満60歳になり、国民年金保険料の納付義務がなくなりました。やれやれ終わったかという感じになりましたが、年金がどのくらい受け取れるのか、このままにしておいていいのかといろいろ不安になりました。

免除された保険料を後から支払うことを追納といいます。追納すると年金はどれぐらい増えるのか?何年でモトが取れるのか?結局損なの得なの?いろいろと検討しました。

国民年金免除制度と追納について、今(2018年5月)振り返って記事にします。

国民年金保険料免除制度とは

所得が一定額基準以下で国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合、申請し承認されると保険料の納付が免除になります。

判定基準となる所得は、本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)です。本人だけではなく世帯全体の所得で判定されるということです。

失業などによる特別な場合は、本人の前年所得を除き判定される「特例免除」という制度もあります。

私はこの失業による特例免除は受けませんでした。この制度があることを知りませんでした。(当時この制度があったのか…)私と妻は国民年金1号として1年間満額の保険料を払い、次の年度から免除を受けました。

免除される額は、以下の4種類があります。免除されている間も、年金加入月数としてカウントされます。また、一定の割合で保険料納付月数に換算されます。

免除の種類納付月数換算
全額免除4/8月
3/4免除(1/4納付)5/8月
1/2免除(1/2納付)6/8月
1/4免除(3/4納付)7/8月

例えば、全額免除12ヶ月で、年金加入月数は12ヶ月、保険料納付月数は6ヶ月になります。

1/2免除(1/2納付)12ヶ月で、年金加入月数は12ヶ月、保険料納付月数は9ヶ月になります。

年金加入月数…年金の支給を受けられるかどうかの判定基準となる月数。国民年金1号(自営業など)・2号(会社員など)・3号(主婦など)などの年金加入月数の合計が10年(120月)以上あれば老齢年金を受け取ることができるようになります。平成29年8月1日から、「25年以上」から「10年以上」に改定されました。

保険料納付月数…65歳以上で支給される老齢基礎年金の支給額を算定するときのもととなる月数。老齢基礎年金支給額=満額(平成30年は779,300円)×保険料納付月数/480月。

保険料を納めることが、経済的に難しいとき[日本年金機構]

満60歳になって国民年金保険料を納付する義務がなくなりましたが…

国民年金保険料は、60歳に達する日の属する月の前月まで支払います。昭和29年(1954年)8月2#日生まれの私は、平成26年(2014年)8月に満60歳になるので、平成26年(2014年)7月分まで支払うことになります。

5歳違いの妻はまだ納付義務が続きますが、わたしはこれで納付義務がなくなり、やれやれ終わったかという感じになっていました。もともと免除を受けて納付していなかったのですが…。

でも、ちょっと待て、これでいいのか…と考えてしまいました。

国民年金保険料は、60歳に達する日の属する月の前月まで支払います。法律的には60歳に達する日とは誕生日の前日になります。もし仮に8月1日生まれの場合、その前日の7月31日に60歳に達するので、7月の前月の6月まで支払うことになります。すこしややこしいです。

年金支給額はどのくらいになるのだろう

ねんきん定期便

これは、平成26年6月に送られてきたねんきん定期便の一部です。60歳の誕生日の2ヶ月前に送られてきたものです。

平成26年(2014年)4月までの厚生年金、国民年金の加入記録が載っています。

厚生年金の報酬比例部分については、もう退職しているのでいまからどうしようもありません。

65歳以降の老齢基礎年金の支給額見込み額は602,300円と記載されています。平成26年度の老齢基礎年金支給額は満額で772,800円です。私の支給額は、満額の78%しかありません。

なお、特別支給の老齢厚生年金については、平成27年8月61歳になって実際に提示された年金額は、930,500円でした。これについては、以下の記事に詳しく説明しています。

特別支給の老齢厚生年金の支給額を自分で計算してみました
1954年(昭和29年)8月生まれの私の場合、61歳の誕生日の翌月すなわち2015年9月から特別支給の老齢厚生年金を受給しています。この特別支給の年金は、老齢厚生年金の報酬比例部分...

老齢基礎年金支給額を自分で計算してみます

試しに65歳からの老齢基礎年金602,300円を自分でも算出してみたいと思います。

厚生年金加入期間は334月ですが、国民年金加入期間62月は、免除期間などがあるので算出には使えません。

注意書きに「老齢年金の見込額は、現在までの条件で60歳まで加入したと仮定して計算しています」とあります。

その条件で国民年金の保険料納付期間を正確に求めてみます。

60歳の誕生日前月(H26年7月)までの国民年金納付状況です。平成21年2月まで厚生年金に加入しており、平成21年3月から国民年金1号になり、平成22年4月から免除を受けています。

年度4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月
H20
H21
H221/4免1/4免1/4免全免全免全免全免全免全免全免全免全免
H23全免全免全免全免全免全免全免全免全免全免全免全免
H24全免全免全免全免全免全免全免全免全免全免全免全免
H25全免全免全免全免全免全免全免全免全免全免全免全免
H26全免全免全免全免

この加入状況から国民年金納付月数を算出します。

免除の種類加入月数換算納付月数
全額納付済13113
全額免除494/824.5
3/4免除(1/4納付)05/80
1/2免除(1/2納付)06/80
1/4免除(3/4納付)37/82.625
月数合計6540.125
  • 厚生年金加入月数=334月
  • 国民年金納付月数=40.125月
  • 老齢基礎年金満額(H26)=772,800円
  • 老齢基礎年金支給額
    =772,800×(334+40.125)/480
    =772,800×374.125/480
    =772,800×0.7794
    =602,341円

H26年当時は100円未満を四捨五入していたので602,300円となり、ねんきん定期便どおりの数値が出ました。満額支給額の77.9%です。

保険料追納について調べました

国民年金保険料免除制度はありがたい制度ですが、受け取れる年金は減ります。追納することにより老齢基礎年金をどれだけ増やせるのか検討しました。

追納には以下の条件があります。

  • 10年以内の免除期間に限られる
  • 原則古い期間から納付
  • 3年度目以降に保険料を追納する場合には加算額が上乗せされる

全額免除を追納した場合の損得を考えてみます。H26年度の保険料と老齢基礎年金額で計算しています。3年度目以降に追納する場合の加算額は考慮していません。

  • 全額免除1ヶ月分を追納…15,250円
  • 追納により増える納付月数…0.5月
     ※追納しなくても0.5ヶ月分は支給される
  • 追納により増える年金額(年額)
     772,800÷480×0.5=805円
  • 何年でモトが取れるか
     5,250÷805=18.9年
  • 何歳でモトが取れるか
     65+18.9=83.9歳

3/4免除、1/2免除、1/4免除も、モトが取れるのは約19年になります。また、何ヶ月分を追納してもモトが取れるのは約19年です。84歳まで生きるとモトがとれます。

追納は損?得?、平均余命から考えてみました

平均寿命という言葉はよく聞きます。平成28年(2016年)の日本人の平均寿命は女性87.14歳、男性80.98歳です。この数字は、0歳の赤ちゃんが、平均的に生きられるであろう年齢です。なので、この数字は私には使えません。

平均余命という言葉があります。その年令の人が平均してあと何年生きるかという数字です。この数字で考えてみました。厚生労働省発表の平成28年簡易生命表で調べました。

平成28年簡易生命表によると
私(平成28年に62歳)、平均余命21.99、つまり平均寿命は約84歳
妻(平成28年に57歳)、平均余命31.67、つまり平均寿命は約89歳

追納は84歳でモトが取れるということなので、女の人はともかく、男の人は追納に意味があるのか微妙なところです。あくまでも数字の上の話ですが…

平成28年簡易生命表(男)
平成28年簡易生命表(女)

結局追納しました、大変な出費です

私は、長生きリスクに備えできるだけの手を打つということで、追納することにしました。

免除の種類加入月数追納前
納付月数
追納後
納付月数
追納金額
納付済み131313
1/4免除(3/4納付)32.625311,490
全額免除4924.549740,860
合計6540.12565752,350

この追納金額には加算額も追加されています。免除を受けずそのまま支払っていれば、748,690円でした。3,660円少なくて済んだことになります。前納制度を利用すればもっと少なかったはずです。

下の表は、追納前と追納後の老齢基礎年金の支給額を比較したものです。

追納前後の比較追納前追納後
厚生年金納付月数334334
国民年金納付月数40.12565
納付月数合計374.125399
満額に対する割合77.9%83.1%
満額支給額(H26)772,800772,800
基礎年金支給額602,341642,390

752,350円の追納で基礎年金が40,049円増えます。
 752,350÷40,049=18.8
約19年、65+19=84歳まで生きたらモトが取れることになります。

今回、妻の分も追納したので約150万円の出費になりました。大変な出費です。この追納がはたして損なのか得なのか。

追納を決めたもう一つの理由

年金受給額を増やす方法として、追納と同時に任意加入を考えました。

60歳から年金額を増やす国民年金任意加入、75歳でモトがとれます
私は60歳までの52ヶ月間、国民年金保険料免除を受けていました。これについて、保険料をあとから納める追納を検討し、そのメリットに疑問を感じながらも、最終的には追納を実行しました。年...

同じ金額を納付するなら、どう考えても任意加入のほうが得です。追納はモトを取るのに19年かかりますが、任意加入はその半分の9.5年でモトが取れます。

しかし、それでいいのだろうかと考えてしまいました。

保険料免除を受けたときも納付しようと思えばできました。それをせず免除を受け、免除された保険料を納付せず、任意加入を利用することに後ろめたさを感じました。

迷いましたが、追納した上で任意加入を利用するのがスジだと思い、追納を決めました。

<2019/9/27追記>上記の件につき誤解がありましたので追記します

国民年金の任意加入では、保険料納付済算定月数が480ヶ月になるまで、すなわち満額支給になるまで保険料を納付することができます。

ただし、保険料免除期間がある場合、保険料納付済月数と保険料免除月数の合計が480ヶ月を超える場合があり、超えた部分については、保険料免除月数を納付済月数に換算する係数が変わります。

国庫負担 は被保険者期間の月数480ヵ月を限度として行われるため、480ヵ月を超えた部分は国保負担分1/2を引いて換算されます。

◆平成21年4月以降

免除区分480ヵ月迄
納付済月数換算
480ヵ月超
納付済月数換算
1/4免除7/87/8-1/2=3/8
半額免除3/43/4-1/2=1/4
3/4免除5/85/8-1/2=1/8
全額免除1/21/2-1/2= 0

<例>全額納付済440月、全額免除40月で任意加入10ヶ月した場合

  • 任意加入する前
    • 被保険者期間=480月
    • 納付済算定月数
      =440+40×1/2=460月
  • 10ヶ月任意加入すると
    • 被保険者期間=480+10=490月
    • 全額納付済=440+10=450月
    • 全額免除
      =30(480月内)+10(480月外)
    • 納付済算定月数
      =450+30×1/2+10×0=465月
  • 20ヶ月任意加入すると
    • 被保険者期間=480+20=500月
    • 全額納付済=440+20=460月
    • 全額免除
      =20(480月内)+20(480月外)
    • 納付済算定月数
      =460+20×1/2+20×0=470月

全額免除期間が40ヶ月ある場合、保険料を20ヶ月分支払ったことになりますが、この換算はあくまで納付済算定月数が480月以下の場合です。

上の例では任意加入で10ヶ月納付した分、全額免除期間のうち10ヶ月が480月を超えてしまうことになり、10ヶ月分は0換算になります。

任意加入で満額支給を目指す場合、全額免除期間40ヶ月分の保険料を支払う必要があります。

つまり、追納で納付しても任意加入で納付しても変わらないということになります。

まとめ

  • 国民年金保険料の免除制度、4種類の免除がある
  • 免除を受けた月数もそのまま国民年金の加入月数に算入される
  • ただし、年金額を算出するするときの納付月数は割引してカウントされる
  • 免除された保険料を後から納付する追納制度がある
  • 追納により年金支給額を増やすことができる
  • 追納によりモトが取れるのは約19年後、年齢にすると84歳

追納に意味があるかどうかは微妙なところです。

追納してよかったかどうかは神のみぞ知る…。