【2025年度版】厚労省発表の基礎年金額を実際に算出、既裁定年金は年齢によって違いが…

南アルプス百閒平より赤石岳 年金額年度改定
南アルプス百閒平より赤石岳

令和7年1月24日に令和7年度の年金額が厚労省より公表されました。

65歳から支給される年金を新規裁定年金、68歳になる年度から支給される年金を既裁定年金といいます。

いずれも令和6年度から 1.9%の引上げとなります。

1階部分に当たる老齢基礎年金の満額支給額は以下のとおりです。

老齢基礎年金満額(月額)

  • 新規裁定者
    65~67歳 69,308円(+1,308円)
  • 既裁定者
    68・69歳 69,308円(+1,308円)
    70歳以上 69,108円(+1,300円)

基礎年金額決定の仕組み、既裁定年金が年齢によって違いがある理由を、実際に年金額を算出して確かめてみます。

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基礎年金額の年度改定の仕組み

基礎年金額(満額)は、平成16年に定められた年金額780,900円に「当年度基礎年金改定率」を乗じて算出します。

「当年度基礎年金改定率」は、「前年度基礎年金改定率」に毎年決定する「年金改定率」を乗じて算出します。

  • 基礎年金額(年額・満額)
    =780,900×当年度基礎年金改定率
  • 当年度基礎年金改定率
    =前年度基礎年金改定率×年金改定率

2025年度の年金改定率

65歳から支給される新規裁定年金は賃金変動率ベースで、68歳になる年度から支給される既裁定年金は物価変動率ベースで改定するのが原則ですが、賃金変動率が物価変動率を下回る場合は、現役世代の負担を考慮して、既裁定年金も賃金変動率ベースで改定することになります。

2025年度は賃金変動率が物価変動率を下回り、両裁定年金とも、賃金変動率+2.3%をベースに改定されることになりました。

さらにマクロ経済スライド調整-0.4%が適用され、2025年度の年金改定率は両裁定年金とも+1.9%になりました。

新規裁定年金の基礎年金額

  • 令和6年度基礎年金改定率:1.045
  • 令和7年度年金改定率:+1.9%(1.019)
  • 令和7年度基礎年金改定率
    1.045×1.019=1.065
  • 令和7年度基礎年金額(年額)
    780,900×1.065=831,700円
    (100円未満四捨五入)
  • 令和7年度基礎年金額(月額)
    831,700÷12=69,308円

既裁定年金の基礎年金額

68歳になる年度からは既裁定年金が支給されることになりますが、令和7年度68歳、69歳になる人は新規裁定年金と同額の(月額)69,308円になり、70歳以上になる人は(月額)69,108円になります。

これは、令和5年度の年金改定率が新規裁定年金と既裁定年金で異なることによります。

令和5年度の年金改定率

令和5年度、賃金変動率が物価変動率を上回り、新規裁定年金が賃金変動率+2.8%をベースに、既裁定年金が物価変動率+2.5%をベースに改定され、マクロ経済スライド-0.6%も適用されました。

  • 新規裁定年金
    (+2.8%)+(-0.6%)=+2.2%…1.022
  • 既裁定年金
    (+2.5%)+(-0.6%)=+1.9%…1.019

年金改定率は、令和4年度以前、令和6年度、令和7年度、両裁定年金とも同じ値ですが、令和5年度だけ異なっています。

基礎年金改定率の推移

  • 令和4年度の基礎年金改定率
     65・66・67歳:0.996
     68歳~    :0.996
  • 令和5年度
    • 年金改定率
      新規:+2.2%(1.022)
      既 :+1.9%(1.019)
    • 基礎年金改定率
      65・66・67歳:0.996×1.022=1.018
      68歳~    :0.996×1.019=1.015
  • 令和6年度
    前年度基礎年金改定率を受けて改定される
    • 年金改定率
      新規・既とも:+2.7%(1.027)
    • 基礎年金改定率
      65・66・67歳  :1.018×1.027=1.045
      68歳(前年度67歳) :1.018×1.027=1.045
      69歳~      :1.015×1.027=1.042
  • 令和7年度
    前年度基礎年金改定率を受けて改定される
    • 年金改定率
      新規・既とも:+1.9%(1.019)
    • 基礎年金改定率
      65・66・67歳  :1.045×1.019=1.065
      68歳(前年度67歳) :1.045×1.019=1.065
      69歳(前年度68歳) :1.045×1.019=1.065
      70歳~      :1.042×1.019=1.062

令和7年度68歳・69歳になる人は既裁定年金になりますが、前年度までの基礎年金改定率を受けて、結果的に新規裁定年金と同額になります。

令和7年度に70歳以上になる人の年金額

令和7年度に70歳以上になる人、すなわち昭和31年4月1日生まれの人の基礎年金額は以下の通りになります。

  • 令和6年度基礎年金改定率:1.042
  • 令和7年度年金改定率:+1.9%(1.019)
  • 令和7年度基礎年金改定率
    1.042×1.019=1.062
  • 令和7年度基礎年金額(年額)
    780,900×1.062=829,300円
    (100円未満四捨五入)
  • 令和7年度基礎年金額(月額)
    829,300÷12=69,108円

基礎年金額改定の推移(令和3年度~)

年度(前基改)前年度基礎年金改定率
(当年改)当年度年金改定率
(当基改)当年度基礎年金改定率
(年額)基礎年金年額
(月額)基礎年金月額
R03
(2021)
65歳~
(前基改)1.001(当年改)0.999
(当基改)1.001×0.999=1.000
(年額)780,900×1.000=780,900円
(月額)65,075円
R04
(2022)
65歳~
(前基改)1.000(当年改)0.996
(当基改)1.000×0.996=0.996
(年額)780,900×0.996=777,800円
(月額)64,816円
R05
(2023)
65~67歳
(前基改)0.996(当年改)1.022
(当基改)0.996×1.022=1.018
(年額)780,900×1.018=795,000円
(月額)66,250円
R05
(2023)
68歳~
(前基改)0.996(当年改)1.019
(当基改)0.996×1.019=1.015
(年額)780,900×1.015=792,600円
(月額)66,050円
R06
(2024)
65~68歳
(前基改)1.018(当年改)1.027
(当基改)1.018×1.027=1.045
(年額)780,900×1.045=816,000円
(月額)68,000円
R06
(2024)
69歳~
(前基改)1.015(当年改)1.027
(当基改)1.015×1.027=1.042
(年額)780,900×1.042=813,700円
(月額)67,808円
R07
(2025)
65~69歳
(前基改)1.045(当年改)1.019
(当基改)1.045×1.019=1.062
(年額)780,900×1.062=831,700円
(月額)69,308円
R07
(2025)
70歳~
(前基改)1.042(当年改)1.019
(当基改)1.042×1.019=1.062
(年額)780,900×1.062=829,300円
(月額)69,108円