【2021年度改定】65歳からどうなる?年金受給者の国民健康保険

北アルプス槍ヶ岳遠望社会保険と税金
北アルプス槍ヶ岳遠望

令和2年の税制改正により、給与所得控除や公的年金等控除の金額が一律10万円減額され、基礎控除が一律10万円増額されました。

令和3年度から、この税制改正が個人住民税や国民健康保険料の算出に適用されます。

個人住民税の改正については以下の記事でまとめています。

【2021年度版】65歳からどうなる?年金受給者の個人住民税
個人住民税は前年の収入により決定します。例えば、令和3年度の個人住民税は令和2年1月から12月の収入により決定します。令和2年の税制改正により、個人住民税の課税基準が改正され、令和...

国民健康保険料についてはどうなるのかを確認しました。

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令和2年の税制改正

令和2年から、給与所得控除、公的年金等控除の金額が一律10万円引き下げられ、一方、基礎控除額が一律10万円引き上げられました。

個人住民税、国民健康保険料は前年の収入より算出されるので、令和3年度の金額から、改正された税制が適用されます。

▼給与所得控除(一部)

給与収入
(A)
給与所得控除
令和元年まで
給与所得控除
令和2年より
~162.5万円65万円55万円
~180万円(A)×40%(A)×40%-10万円
~360万円(A)×30%+18万円(A)×30%+ 8万円
~660万円(A)×20%+54万円(A)×20%+44万円
:::

▼公的年金等控除(一部)
公的年金以外の合計所得が1,000万円以下の場合

年金収入
(B)
65歳未満
控除額
令和元年まで
控除額
令和2年から
~130万円70万円60万円
~410万円(B)×25%+37.5万(B)×25%+27.5万
~770万円(B)×15%+78.5万(B)×15%+68.5万
:::
年金収入
(C)
65歳以上
控除額
令和元年まで
控除額
令和2年から
~330万円120万110万
~410万円(C)×25%+37.5万(C)×25%+27.5万
~770万円(C)×15%+78.5万(C)×15%+68.5万
:::

基礎控除(合計所得金額2,400万円以下の場合)

税の種類令和元年まで令和2年から
所得税38万円48万円
住民税33万円43万円

国民健康保険料の所得割を算出する際の基礎控除額も、住民税の場合と同じく、令和3年度より、33万円から43万円になります。

国民健康保険の内訳

国民健康保険料は世帯単位で算出し、世帯主が納付します。

国民健康保険料の内訳

  • 医療給付費分(医療分)
    病院を受診した際の保険給付費分や、出産育児一時金、葬祭費などに充てられる保険料
  • 後期高齢者支援金等分(支援分)
    75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度を支えるための保険料
  • 介護納付金分(介護分)
    介護保険制度を支えるための保険料。40歳以上65歳未満の人(介護保険第2号被保険者)が納付する。

65歳からは介護分が国民健康保険から切り離される

65歳になると介護保険の被保険者資格が2号から1号になり、国民健康保険料に含まれていた介護分が世帯負担から切り離され、「介護保険料」として独立し個人負担になります。

介護保険の資格
  • 第1号被保険者(65歳以上)
    原因を問わず、要介護、あるいは、要支援状態と認定されると介護サービスを受けらる
  • 第2号被保険者(40歳から64歳まで)
    末期ガンや関節リウマチといった、加齢を原因とする病気が原因で要介護状態になったときに限り介護サービスを受けらる

国民健康保険料の算出方法

医療分・支援分・介護分それぞれに平等割・均等割・所得割などの賦課項目があります。自治体により平等割を設定していないところもあります。

保険料の賦課項目

  1. 平等割
    1世帯に定額でかかる部分、付加しない自治体もあり
  2. 均等割
    加入者1人に対して定額でかかる部分
  3. 所得割
    世帯の一人ひとりの所得基準額を合計した総所得金額に対してかかる部分
    所得割額=総所得金額×割合
所得基準額の算出方法

個人住民税や国民健康保険料を算出する際の所得基準額の算出方法

給与所得の所得基準額
=給与収入-給与所得控除-基礎控除
年金所得の所得基準額
=年金収入-年金所得控除-基礎控除
事業所得の所得基準額
=事業収入-必要経費-基礎控除

※複数の所得がある場合、基礎控除額は一度だけ引くことができる

国民健康保険料の例

▼大阪市(令和2年度)

賦課項目平等割
円/1世帯
均等割
円/1人
所得割限度額
医療分29,37624,3728.06%61万円
支援分9,8928,2072.78%19万円
介護分4,42413,3962.69%16万円

▼名古屋市(令和2年度)

賦課項目均等割
円/1人
所得割限度額
医療分40,8437.39%63万
支援分12,9072.37%19万
介護分14,5692.09%17万

名古屋市は「平等割」がありません。

軽減措置の改正

世帯の所得の合計が基準以下の場合に、均等割額と平等割額を減額し、保険料負担を軽減する制度があります。

軽減の割合は、世帯の所得の合計に応じて、7割軽減・5割軽減・2割軽減があります。

軽減判定基準額の算出方法

軽減判定基準額は、所得割の算出に用いる「所得基準額」とは異なり、基礎控除額を差し引く前の所得を用います。

世帯主(国保加入者でない世帯主も含む)、国保加入者、国保から後期高齢者医療制度へ移行した同一世帯者の所得の世帯全体の所得を合計し判定します。

  • 給与所得
    給与収入-給与所得控除
  • 年金所得
    年金収入-公的年金控除
  • 事業所得
    事業収入-必要経費

さらに、前年12月31日において65歳以上の公的年金受給者はさらに15万円を差し引きます。

軽減判定基準額

軽減
割合
軽減判定基準額
令和2年度
軽減判定基準額
令和3年度
7割
軽減
33万円 以下43万円
+10万円×(人数B-1)
5割
軽減
33万円
+28.5万円×人数A
43万円
+28.5万円×人数A
+10万円×(人数B-1)
2割
軽減
33万円
+52万円×人数A
43万円
+52万円×人数A
+10万円×(人数B-1)
  • 人数A:国保加入者等の人数
    国保加入者と国保から後期高齢者医療制度へ移行した同一世帯者の合計人数
  • 人数B:給与所得者等の人数
    給与収入が55万円を超える人、公的年金等の収入が60万円を超える65歳未満の人、公的年金等の収入が125万円(110万円+15万円)を超える65歳以上の人の合計人数

令和3年度から給与所得控除、年金所得控除が一律10万円引き下げられ、結果として所得が10万円増えることになるので、軽減判定基準額が10万円引き上げられました。

また、「給与所得者等」に当たる人が世帯に2名以上いる場合、世帯全体の所得もさらに増加するので、「給与所得者等の人数から1を引いた数×10万円」を加えることにより、税制改正の影響を抑えるよう改正されました。

▼被保険者1人の場合

給与所得者等7割軽減5割軽減2割軽減
0人43万71.5万95万
1人43万71.5万95万

▼被保険者2人の場合

給与所得者等7割軽減5割軽減2割軽減
0人43万100万147万
1人43万100万147万
2人53万110万157万

▼被保険者3人の場合

給与所得者等7割軽減5割軽減2割軽減
0人43万128.5万199万
1人43万128.5万199万
2人53万138.5万209万
3人63万148.5万219万

夫婦2人世帯の国民健康保険料を計算

大阪市在住の夫婦2人

  • 夫65歳(介護1号)=年金収入200万円
  • 妻60歳(介護2号)=給与収入100万円

この条件で、世帯の国民健康保険料を計算します。

国民健康保険料

  • 夫の所得基準額
    公的年金控除110万円
    基礎控除43万円
    200万-110万-43万=47万円
  • 妻の所得基準額
    給与所得控除55万円
    基礎控除43万円
    100万-55万-43万=2万円
  • 世帯の合計所得金額
    47万+2万=49万円
内訳賦課項目算出式保険料


平等割29,376円
均等割24,372×2人48,744円
所得割49万×8.06%39,494円


平等割  9,892円
均等割8,207×2人16,414円
所得割49万×2.78%13,622円


平等割  4,424円
均等割13,396×1人13,396円
所得割2万×2.69%    538円
合計175,900円

軽減判定基準

  • 夫の軽減判定基準額
    公的年金控除110万円
    65歳以上の減額15万円
    200万-110万-15万
    =75万円
  • 妻の軽減判定基準額
    給与所得控除55万円
    100万-55万
    =45万円
  • 合計の軽減判定基準額
    75万+45万
    =120万円

被保険者2人、給与所得者等2人、世帯の軽減判定基準額120万円になり、均等割額と平等割額が2割軽減になります。

上記の夫婦の国民健康保険料

内訳賦課項目本来額軽減率保険料


平等割29,3762割軽減23,501
均等割48,7442割軽減38,995
所得割39,49439,494


平等割9,8922割軽減7,914
均等割16,4142割軽減13,131
所得割13,62213,622


平等割4,4242割軽減3,539
均等割13,3962割軽減10,717
所得割538538
合計151,451

年金からの特別徴収

国民健康保険料(75歳から後期高齢者医療制度保険料)、介護保険料、個人住民税は、年金の支給額から天引きして徴収されます。

特別徴収の対象者

  • 当該年の4月1日現在において、65歳以上であること。
  • 当該年の4月1日現在において、特別徴収の対象年の支払額が、年額18万円以上であること。
  • 国民健康保険料の場合は世帯内の国保加入者全員が65歳以上75歳未満であること。

世帯内に65歳未満の国保加入者がいる場合は、納付書、口座振替等による普通徴収になります

まとめ

令和2年の税制改正により、令和3年度の国民健康保険料の計算方法が改正されます。

上記の保険料の算出例は、平成2年度の数字ですが、令和3年度から算出方法が変更されても、結果的に保険料は変わらないことになります。