老齢厚生年金報酬比例部分は過去の報酬額から算出しますが、その計算はとても複雑です。
その際、過去の報酬額に「再評価率」を乗じて現役世代の手取り賃金に再評価します。
さらに「再評価率」には、マクロ経済スライドの改定率も織り込まれます。
「再評価率」は毎年度改定されますが、平成3年度の「再評価率」が公表されましたので、平成3年度版の老齢厚生年金報酬比例部分計算ワークシートを作成しました。
ねんきん定期便やねんきんネットに記載されている報酬額を入力すると厚生年金の報酬比例部分を求めることができます。
使っていただければ幸いです。
再評価率の改定
令和3年度の年金額改定率はマイナス0.1%(乗数0.999)となっており、これが「再評価率」に適用されます。
例えば、平成10年度の報酬額に乗じる再評価率は、令和2年度0.971ですが、令和3年度0.971×0.999=0.970になります
報酬年度 | 再評価率 令和2年度 | 再評価率 令和3年度 |
---|---|---|
: | : | : |
平成10年 | 0.971 | 0.970 |
平成11年 | 0.970 | 0.969 |
平成12年 | 0.970 | 0.969 |
平成13年 | 0.969 | 0.968 |
平成14年 | 0.975 | 0.974 |
: | : | : |
厚生年金の報酬比例部分は2通りの計算方法があります
老齢厚生年金の報酬比例部分は「本来水準年金額」と「従前額保障年金額」の2通りの計算方法があります。
文字通り本来の支給額は「本来水準年金額」ですが、「従前額保障年金額」が上回る場合はそちらの金額が支給されます。
なお、「従前額保障年金額」を計算する場合は平成6年の再評価率が用いられ、「従前額改定率」が年度ごとに改定されます。「従前額改定率」は令和2年度1.000が令和3年度0.999になります。
計算シートのイメージ
わたし自身の令和3年度の報酬比例部分を算出した計算シートのイメージです。
- 本来水準 924,067円
- 従前額保障 931,456円
計算の結果、従前額保障の年金額が支給されることになります。
入力方法
59歳時点のねんきん定期便
毎年の誕生月に「ねんきん定期便」が送られてきますが、59歳時点のねんきん定期便にはそれまでのすべての月別の標準報酬額・標準賞与額が記載されています。
これを入力することにより、その時点の厚生年金の報酬比例部分を算出することができます。
「ねんきんネット」にログインして月別の報酬額を調べることもできますが、一覧表になっていないので、全てを調べるのは大変です。
入力例
わたし自身の59歳時ねんきん定期便の一部です。
- 千の位より上を記入してください(500,000円→500)
- 平成15年度からは総報酬制が導入されました。賞与月は、標準報酬月額と標準賞与額の合計を記入してください。(赤字)
年度 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 |
---|---|---|---|---|
平成13年 | 500 | 500 | 500 | 500 |
平成14年 | 500 | 500 | 500 | 500 |
平成15年 | 500 | 500 | 500 | 1100 |
平成16年 | 500 | 500 | 500 | 950 |
こちらからダウンロードしてください
LibreOffice Calc odsファイル
令和3年度厚生年金報酬比例部分計算シート
MicrosoftOfficeでの動作確認はしていませんが、たぶん開けると思います。
LibreOfficeは無料のオフィスソフトです。
ワードプロセッサのWriter、表計算アプリケーションのCalc、プレゼンテーションエンジンのImpressなどがすべて無料で使えます。わたしは、会社勤務の時は当然のようにMicrosoftOfficeを使ていましたが、いまはLibreOfficeをほぼ問題なく使っています。
不具合等あればメッセージください
自分の年金記録で確かめておりますが、万一数字間違い、不具合等あれば、メッセージからご連絡お問い合わせください。