2023年5月更新
年金額について、物価変動と年金額より毎年度の「実質年金額指数」という指標を算出しています。
2022年度の実質年金額指数は前年度比3.5%減少となりました。
なお、この指数はあくまでも個人的な考え方で作成していますので、参考程度にご覧ください。
基礎年金満額より「名目年金額指数」を算出
基礎年金満額とは、国民年金に20歳から60歳になるまでの40年間加入することにより支給される1階部分の年金額です。
1階部分の基礎年金も2階部分の厚生年金も年度ごとに同じ改定率で算出されるので、基礎年金満額で、名目年金額指数を算出することにします。
2015年度の年金額を基準とします
2013年9月までの年金額は物価が下落したにもかかわらず、年金額を据え置いたことで、本来の水準よりも2.5%高い水準(特例水準)となっていました。
この特例水準を、2013年10月、2014年4月、2015年4月に段階的に解消し、2015年度より本来水準の年金額に改定しました。
そこで、2015年度の基礎年金満額を100として「名目年金額指数」を算出します。
2023年度の年金額は、67歳になる年度の年度末まで支給される「新規裁定年金」と、68歳になる年度から支給される「既裁定年金」の2種類の満額が設定されています。
年度 | 基礎年金 年額 | 基礎年金 月額 | 名目 年金額指数 |
---|---|---|---|
2010 | 792,100 | 66,008 | 101.5 |
2011 | 788,900 | 65,741 | 101.1 |
2012 | 786,500 | 65,541 | 100.8 |
2013 | 782,500 | 65,208 | 100.3 |
2014 | 772,800 | 64,400 | 99.1 |
2015 | 780,100 | 65,008 | 100.0 |
2016 | 780,100 | 65,008 | 100.0 |
2017 | 779,300 | 64,941 | 99.9 |
2018 | 779,300 | 64,941 | 99.9 |
2019 | 780,100 | 65,008 | 100.0 |
2020 | 781,700 | 65,141 | 100.2 |
2021 | 780,900 | 65,075 | 100.1 |
2022 | 777,800 | 64,816 | 99.7 |
2023 | 新 795,000 既 792,600 | 新 66,250 既 66,050 | 新101.9 既101.6 |
年金額改定の詳細は以下のページを参照してください
年度単位の消費者物価指数を2015年度基準に変換
消費者物価指数は5年ごとに改定されおり、今回は2020年基準消費者物価指数を利用しました。
通常、消費者物価指数は1月~12月の年単位の指数を用いますが、統計局のデータには4月~翌年3月の年度単位の指数も掲載されており、今回は年度単位の指数を利用しました。
年金額指数を2015年基準に設定したので、2020年基準の年度単位の指数を2015年度基準の指数に変換しました。
年度 | 2020年基準 物価指数 | 2015年度基準 物価指数 |
---|---|---|
2010 | 94.7 | 96.4 |
2011 | 94.6 | 96.3 |
2012 | 94.4 | 96.1 |
2013 | 95.2 | 96.9 |
2014 | 98.0 | 99.8 |
2015 | 98.2 | 100.0 |
2016 | 98.2 | 100.0 |
2017 | 98.9 | 100.7 |
2018 | 99.6 | 101.4 |
2019 | 100.1 | 101.9 |
2020 | ※99.9 | 101.7 |
2021 | 100.0 | 101.8 |
2022 | 103.2 | 105.1 |
※2020年指数=100(基準)に対し、2020年度指数=99.9なっています
元データ e-Stat
実質年金額指数を算出してみました
名目年金額指数と消費者物価指数から2015年基準の実質年金額指数を算出してみました。
- 実質年金額指数
=名目年金額指数÷消費者物価指数
年度 | 名目 年金額指数 | 消費者 物価指数 | 実質 年金額指数 |
---|---|---|---|
2010 | 101.5 | 96.4 | 105.3 |
2011 | 101.1 | 96.3 | 105.0 |
2012 | 100.8 | 96.1 | 104.9 |
2013 | 100.3 | 96.9 | 103.5 |
2014 | 99.1 | 99.8 | 99.3 |
2015 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
2016 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
2017 | 99.9 | 100.7 | 99.2 |
2018 | 99.9 | 101.4 | 98.5 |
2019 | 100.0 | 101.9 | 98.1 |
2020 | 100.2 | 101.7 | 98.5 |
2021 | 100.1 | 101.8 | 98.3 |
2022 | 99.7 | 105.1 | 94.9 |
2022年度 実質年金額は大きく落ち込みました
特例水準が解消された2015年度を100とすると、2021年度までは実質年金額指数は98以上をキープしていて、大きな落ち込みはありませんでした。
ところが、2022年の急激な物価上昇とそれを反映していない年金額により、実質年金額指数は大きく落ち込みました。
実質年金額指数は、2012年度104.9→2022年度94.9となり、この10年間で9.5%減少しています。