60歳から基礎年金と基礎年金相当額を増やす方法 任意加入と経過的加算

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先日、今年65歳になる弟と老齢年金の話になりました。

弟はこれまで「特別支給の老齢厚生年金」を受給していましたが、65歳になりいよいよ老齢基礎年金を含めた本来支給の老齢年金の受給が始まります。

弟は受給手続きをせず、繰下げ受給をしようかとのことでした。

話の中で、63歳まで加入していた厚生年金と退職後に加入した国民年金任意加入の話題になりました。

60歳を過ぎて年金を上積みする方法は、厚生年金に加入し続けることと、退職後に国民年金に任意加入することです。

弟の事情を例に、60歳以降の厚生年金と国民年金任意加入についてまとめます。

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国民年金任意加入

20歳から59歳までの40年間(480ヵ月)、国民年金1号・2号・3号として国民年金に加入することによって、1階部分にあたる基礎年金満額を受け取ることができます。

60歳になったとき事情により保険料納付済み月数が480ヵ月に足らない場合、60歳以降65歳になるまで、保険料納付済み月数が480ヵ月になるまで、国民年金に任意加入することができます。

ただし、厚生年金に加入している場合は任意加入できません。

国民年金任意加入制度
  • 60歳以降65歳になるまで加入できる
  • 加入月から納付となり、さかのぼっての納付はできない
  • 国民年金保険料納付済み月数が480ヵ月になるまで加入できる
  • 厚生年金保険、共済組合等の加入者は利用できない

厚生年金の経過的加算

20歳から59歳までの厚生年金加入期間は、基礎年金満額を受け取るための保険料納付済み月数480ヵ月にカウントされますが、20歳未満、60歳以降の加入期間は480ヵ月にカウントされません。

経過的加算は、この20歳未満、60歳以降の厚生年金加入期間について、基礎年金相当額を加算する制度です。

ただし、厚生年金の加入期間が480ヵ月を超える部分の加算は行われません。

厚生年金 経過的加算

X=定額単価(基礎年金満額の約1/480)
 × 厚生年金全加入月数(最大480ヵ月)
Y=基礎年金満額
 × 厚生年金20歳~59歳加入月数/480
経過的加算=X-Y

経過的加算の定額単価は基礎年金満額の約1/480になっています。
<参考>2022年度年金額
  定額単価:1,621円
  基礎年金満額:777,800円
  777,800 × 1/480=1,620.4円

学生時代の未納期間を補完します

1991年3月までは、学生期間、国民年金は任意加入でした。

現在は、学生も国民年金に加入して保険料を納付する義務があります。申請により保険料が猶予される制度がありますが、猶予された保険料は10年以内に納付する必要があります。

1991年以前学生だった人は、60歳になった時点で、基礎年金が満額受給できる保険料納付済み月数480ヵ月に足りない場合が多いことになっています。

60歳以降の国民年金任意加入と厚生年金加入は、480ヵ月に足りない部分を補うことになります。

弟の場合

弟の場合の大体の年金加入の経歴は以下の通りになります。

 年齢期間  加入状況
(A)20歳~23歳 4 年間未加入
(B)24歳~59歳36年間厚生年金30年
国民年金 6年
(C)60歳~62歳 3 年間厚生年金
(D)63歳~64歳 2 年間国民年金任意加入
※加入期間はおよその期間になっています。

老齢基礎年金

 保険料納付済み=(B)+(D)=38年
 ※(C)の期間はカウントされない
 年金額=基礎年金満額 × 38年/40年
 満額に2年分足りません

厚生年金 経過的加算

 X=定額単価 × { (B)30年月数+(C)3年月数 }
 Y=基礎年金満額 × (B)30年/40年
 経過的加算=X-Y

この式で、
 定額単価 × (B)30年月数
  ≒ 基礎年金満額 × (B)30年/40年
となります。

結果として、経過的加算は定額単価×(C) 3年月数になり、これは基礎年金満額×3年/40年にほぼ等しくなります。

弟の場合の老齢年金

弟の場合は、65歳以降以下の金額を受給することになります。

  • 基礎年金
    基礎年金満額×38年/40年
  • 厚生年金
    報酬比例額
    経過的加算(基礎年金満額×3年/40年)

基礎年金が満額に対して2年分足りないところを経過的加算で3年分加算されるので、結果的に基礎年金満額 × 41年/40年受給できることになります。

私の場合は…

私は60歳以降に厚生年金に加入していませんが、わずかに経過的加算が支給されています。以下のページで、経過的加算について詳しく説明しています。

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