【2021年度版】マクロ経済スライド調整の仕組み、2021年度は次年度以降に繰り越し

南アルプス北岳への道全般

マクロ経済スライドとは、現役の被保険者の減少平均余命の伸びに応じて年金額を抑えるしくみです。

2021年度の年金額改定でマクロ経済スライド調整率は-0.1%になりますが、規定により次年度以降に繰り越されました。

マクロ経済スライドの仕組みについてみていきたいと思います。

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マクロ経済スライド調整率の算出方法

マクロ経済スライド調整率は以下の2つの数値から算出します

  • 現役の被保険者の変動率
    …公的年金被保険者数の変動率
    (2~4年度前の平均)
  • 平均余命の伸び率による調整
    …マイナス0.3%(一定値)
マクロ経済スライド調整率
=保険者数変動率✕平均余命調整

令和3年度(2021)の算出式

  • 公的年金被保険者数の変動率=+0.2%
  • 平均余命の伸び率による調整=-0.3%
  • マクロ経済スライド調整率
    =( 1+0.002)×(1-0.003)
    =1.002×0.997
    =0.999 ⇒-0.1%

スライド調整率適用のルール

マクロ経済スライド調整は必ず適用されるというわけではありません。

  • ベース改定率がマイナスまたはゼロの場合は適用されない
  • ベース改定率がプラスの場合も改定率がゼロを下回る適用はされない
  • 平成30年度(2018年度)以降適用されなかった調整率は次年度以降に繰り越す

スライド調整率の推移

年度保険者数平均余命調整率実施
H28(2016)-0.4%-0.3%-0.7%しない
H29(2017)-0.2%-0.3%-0.5%しない
H30(2018)0.0%-0.3%-0.3%繰越
R01(2019)+0.1%-0.3%-0.2%する
R02(2020)+0.2%-0.3%-0.1%する
R03(2021)+0.2%-0.3%-0.1%繰越
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ベース改定率はどう決まる?

マクロ経済スライド調整はベース改定率がプラスの場合に適用されます。ベース改定率がどのように決まるのかをみていきます。

ベース改定率(マクロ経済スライド調整前の改定率)

65歳から67歳になる年度の年度末まで支給される年金を新規裁定年金、68歳になる年度から支給される年金を既裁定年金といいます。新規裁定年金が67歳の年度末まで支給されるのは、年金額の改定において3年度前の指標が用いられるためです 。

年金額のベース改定率(マクロ経済スライド調整前の改定率)は「物価変動率」と「賃金変動率」をもとにして決まります。

A.賃金変動率が物価変動率を上回る場合
  新規裁定年金 :賃金変動率ベース
  既裁定年金  :物価変動率ベース

B.賃金変動率が物価変動率を下回る場合
 両裁定年金とも:賃金変動率ベース

日本の年金制度は賦課方式で、現役世代が納めた年金保険料が受給世代に年金として支給されています。「B.賃金変動率が物価変動率を下回る場合」は年金財政のバランスを考慮して、既裁定年金も賃金変動率をベースに改定することになります。

令和2年度までは例外規定あり

令和2年度まで、「B.賃金変動率が物価変動率を下回る場合」については例外規定がありました。賃金変動率がマイナスになった場合に限り、現役世代・受給世代両方への影響を考慮して、マイナス幅を抑える、あるいはゼロ改定にするというような例外規定が設けられていました。

令和3年度からはその例外規定が撤廃され、基本ルール通りに改定されることになります。つまり、既裁定年金の改定率は現役世代の賃金が下がると仮に物価が上がっても賃金変動に付き合って下げられることになります。

ベース改定率の推移

ベース改定率は以下の通り推移しています。

年度物価
変動率
賃金
変動率
適用
変動率
ベース
改定率
H28(2016)+0.8%-0.2%ゼロ0.0%
H29(2017)-0.1%-1.1%物価-0.1%
H30(2018)+0.5%-0.4%ゼロ0.0%
R01(2019)+1.0%+0.6%賃金+0.6%
R02(2020)+0.5%+0.3%賃金+0.3%
R03(2021)0.0%-0.1%賃金-0.1%

いずれも「B.賃金変動率が物価変動率を下回る場合」になっているので、新規裁定年金・既裁定年金とも同一変動ベースで改定されています。

(※)H28、H29、H30は、本来なら賃金変動ベースが適用されるところですが、例外規定により、ゼロベースあるいは物価変動ベースが適用されています。

R03は例外規定が撤廃されて賃金変動ベースが適用されています。

ベース改定率とマクロ経済スライド

ベース改定率+マクロ経済スライド

マクロ経済スライド調整は、改定率がマイナスにならない範囲で適用する決まりで、H28とH29は実施が見送られました。

H30より適用しきれなかった調整率を、翌年度以降に繰越することになり、R01は、H30の分とR01の分が合わせて適用されました。

R02の調整率は来年度以降に繰り越されています。

年度ベース調整率実施実施
スラ
イド
実施
改定率
H28
(2016)
0.0%-0.7%しない0.0%
H29
(2017)
-0.1%-0.5%しない-0.1%
H30
(2018)
0.0%-0.3%繰越0.0%
R01
(2019)
+0.6%-0.2%する-0.3%
-0.2%
+0.1%
R02
(2020)
+0.3%-0.1%する-0.1%+0.2%
R03
(2021)
-0.1%-0.1%繰越-0.1%