マクロ経済スライド調整、2020年度も実施される見込みだそうです

南アルプス北岳への道全般

新聞報道によると、マクロ経済スライド調整が2019年度に続き2020年度も実施される見込みだそうです。

マクロ経済スライドとは、現役の被保険者の減少平均余命の伸びに応じて年金額を抑えるしくみです。

マクロ経済スライドの仕組みについてみていきたいと思います。

マクロ経済スライド調整率の算出方法

マクロ経済スライド調整率は以下の2つの数値から算出します

  • 現役の被保険者の変動率
    …公的年金被保険者数の変動率
    (2~4年度前の平均)
  • 平均余命の伸び率による調整
    …マイナス0.3%(一定値)
マクロ経済スライド調整率
=保険者数変動率✕平均余命調整

令和元年度(2019)の算出式

  • 公的年金被保険者数の変動率=+0.1%
  • 平均余命の伸び率による調整=-0.3%
  • マクロ経済スライド調整率
    =( 1+0.001)×(1-0.003)
    =1.001×0.997
    =0.998 ⇒-0.2%

スライド調整率適用のルール

マクロ経済スライド調整は必ず適用されるというわけではありません。

  • ベース改定率がマイナスまたはゼロの場合は適用されない
  • ベース改定率がプラスの場合も改定率がゼロを下回る適用はされない
  • 平成30年度(2018年度)以降適用されなかった調整率は次年度以降に繰り越す

過去5年の調整率の推移

年度保険
者数
平均
余命
スラ
イド
実施
H27(2015)-0.6%-0.3%-0.9%する
H28(2016)-0.4%-0.3%-0.7%しない
H29(2017)-0.2%-0.3%-0.5%しない
H30(2018)+0.0%-0.3%-0.3%繰越
R01(2019)+0.1%-0.3%-0.2%する

ベース改定率はどう決まる?

マクロ経済スライド調整はベース改定率がプラスの場合に適用されます。ベース改定率がどのように決まるのかをみていきます。

新規裁定年金・既裁定年金

65歳から67歳になる年度の年度末まで支給される年金を新規裁定年金、68歳になる年度から支給される年金を既裁定年金といいます。

67歳の年度末まで新規裁定年金が支給されるのは、年金額の改定において3年度前の指標が用いられるためです 。

◆基本ルール

  • 新規裁定年金…賃金変動ベース
  • 既裁定年金……物価変動ベース

年金改定のルール(令和2年度まで)

「賃金変動>物価変動」の場合、基本通り新規裁定年金は賃金変動ベースで、既裁定年金は物価変動ベースで改定されます。(下図①②③)

「物価変動>賃金変動」の場合、既裁定年金の改定率が新規裁定年金の改定率を上回ると、給付と負担の長期的な均衡が保てなくなるので、両裁定年金とも基本的には賃金変動ベースとします。(下図⑥)

ただし、下図④⑤の場合、既裁定年金を賃金変動ベースで改定とすると既裁定年金のマイナス変動が大きく既裁定者への影響が大きくなるので、例外的に、④は両裁定年金とも物価変動ベースで、⑤は両裁定年金とも改定なしとします。

年金額改定ルール

(出展)日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/faq/jukyu/kyotsu/gakukaitei/201805-8.files/C.pdf

令和3年度からの制度改正

令和3年度から例外的な措置④⑤が改定されます。

給付と負担の長期的な均衡を考慮して、「 物価変動>賃金変動」の場合は新規裁定年金・既裁定年金とも賃金変動ベースとなります。

  • 賃金変動>物価変動のとき
    • 新規裁定年金…賃金変動ベース
    • 既裁定年金……物価変動ベース
  • 物価変動>賃金変動のとき
    • 両裁定年金とも…賃金変動ベース

つまり、既裁定年金の改定率は現役世代の賃金が下がると仮に物価が上がっても賃金変動に付き合って下げられることになります。

ベース改定率とマクロ経済スライド

ベース改定率

直近5年間のベース改定率は以下の通り推移しています。

改定ルールが上図④⑤⑥となっているので、新規裁定年金・既裁定年金とも同一変動ベースで改定されています。

年度物価賃金適用ベース
H28(2016)+0.8%-0.2%ゼロ0.0%
H29(2017)-0.1%-1.1%物価-0.1%
H30(2018)+0.5%-0.4%ゼロ0.0%
R01(2019)+1.0%+0.6%賃金+0.6%
R02(2020)+0.5%+0.3%賃金+0.3%

ベース改定率+マクロ経済スライド

  • ベース…ベース改定率
  • マクロ…マクロ経済スライド調整率
  • 実施…○する・×しない・△繰越
       ◎繰越も含めて実施
  • 実施分…実施されたスライド調整率
  • 改定率…実施された改定率
年度ベースマクロ実施実施分改定率
H27(2015)+1.8%-0.9%-0.9%+0.9%
H28(2016)0%-0.7%×0%0%
H29(2017)-0.1%-0.5%×0%-0.1%
H30(2018)0%-0.3%0%0%
R01(2019)+0.6%-0.2%-0.5%+0.1%
  • H27年のベース改定率は+2.3%ですが、特例水準解消-0.5%が実施されました。
  • R01年のマクロ経済スライド調整はH30年に繰り越された分も合わせて実施されました。