65歳からどうなる?年金受給者の住民税非課税211万円の壁とは…

南アルプス空木岳駒峰ヒュッテ 社会保険と税金
南アルプス空木岳駒峰ヒュッテ

私は61歳から特別支給の老齢厚生年金を受給していますが、2019年8月に65歳になり、いよいよ老齢厚生年金の本来支給が始まります。

ところが年金収入には「211万円の壁」があるということを知りました。

この「211万円の壁」は個人住民税が非課税になる金額です。

私の場合はまさしく年金収入が年額で210万円前後の支給になると思われます。

個人住民税と「211万円の壁」について調べてみました。

スポンサーリンク

「211万円の壁」とは

次の条件を満たす場合、夫の個人住民税が非課税になり、様々なメリットがあります。

  • 夫婦二人世帯
  • 夫は65歳以上
  • 夫の公的年金が年額211万円以下

さらに妻の個人住民税が非課税であれば「住民税非課税世帯」ということになります。

収入と所得

個人住民税の課税の仕組みについてみていきます。

個人住民税は個人にかかる税金です。一人ひとりの収入で算出します。

公的年金の収入は「公的年金等控除」を差し引いて「所得(雑所得)」とします。

所得(雑所得)
=公的年金収入-公的年金等控除

▽年金収入による公的年金等控除額

公的年金等の
収入額
公的年金等控除額
65歳以上の場合
120万円まで収入金額全額(税額0円)
120万円超
330万円未満
120万円
330万円以上
410万円未満
収入金額×0.25+37万5千円
410万円以上
770万円未満
収入金額×0.15+78万5千円
770万円以上収入金額×0.05+155万5千円

所得控除と課税標準額

上記の「所得」からさらに「所得控除」を差し引いて「課税標準額」とします。

これは、所得税でいうところの「課税所得」にあたり、これをもとに住民税を課税します。

課税標準額=所得-所得控除

▽住民税の主な所得控除

所得控除の種類金額
基礎控除33万円
配偶者控除33万円
扶養控除33万円
社会保険料控除実費

※所得税の所得控除額とは異なります。

まとめると次の式になります
課税標準額
=公的年金収入-公的年金等控除-所得控除

夫婦二人世帯で夫の年金が120万円超330万円未満の場合
課税標準額
 =公的年金収入
 -公的年金等控除額(120万)
 -基礎控除(33万)
 -配偶者控除(33万)
 -その他の所得控除
 =公的年金収入-186万-その他の所得控除

住民税の算出方法

個人住民税は、1人当たりの一定額「均等割」と所得に比例する「所得割」の合計金額になります。

個人住民税の税額・税率の標準は以下のようになっています。

個人住民税均等割所得割
都道府県民税1,500円4.0%
市区町村民税3,500円6.0%
合計5,000円10.0%

※自治体により税額・税率が異なる場合があります。

個人住民税
 =5,000円+課税標準額×10%-調整控除※

(※)調整控除とは
平成19年に所得税の税率を下げて住民税の税率を上げる「税源移譲」が行われました。

その際、住民税の基礎控除・配偶者控除などの人的控除額が所得税より少額になります。

例えば、住民税の基礎控除は33万円、所得税の基礎控除は38万円で5万円の差があります。

単純に所得税をマイナス5%、住民税をプラス5%にすると住民税の課税標準額の方が大きいので税負担が増えることになってしまいます。

その税負担を調整するため、「調整控除額」が考慮されています。

住民税非課税の基準は別にあります

住民税を課税する場合は前出の「課税標準額」を用いますが、住民税の非課税は別の基準で判断します。

住民税は「均等割額」と「所得割額」の合計になりますが、それぞれに非課税になる基準があります。

均等割非課税の所得金額(上限)
扶養親族なし:35万
扶養親族あり:35万円×(控除対象配偶者及び扶養親族の数+1)+21万円

所得割非課税の所得金額(上限)
扶養親族なし:35万
扶養親族あり:35万円×(控除対象配偶者及び扶養親族の数+1)+32万円 

均等割の非課税基準の方が低いので、所得金額が均等割の非課税基準以下であれば住民税が非課税になります。

配偶者・扶養親族住民税非課税 所得金額
配偶者なし・扶養親族なし35万円
配偶者あり・扶養親族なし91万円
配偶者と扶養親族1人あり126万円
配偶者と扶養親族2人あり161万円

夫婦2人世帯、年金収入211万円の壁

夫婦二人の世帯で住民税が非課税になる収入を考えます。

夫の所得の非課税上限額
=35万×2+21=91万円

妻の所得の非課税上限額
=35万

夫の収入が公的年金のみの場合
 公的年金控除額120万円
 +住民税非課税所得の上限91万円
 =211万円

夫の公的年金が211万円以下で他の所得がないならば、住民税が非課税になります。
これが「年金収入211万円の壁」です。

さらに妻の所得が35万円以下なら、夫婦とも住民税が非課税になり、「住民税非課税世帯」となります。

妻のパート収入について
妻にパート収入がある場合、所得税と住民税では非課税限度額が異なります。

所得税の場合、給与所得控除65万+基礎控除38万=103万円まで非課税になりますが、住民税の場合、65万+35万=100万円までが非課税になります。

パート収入が100万円を超えたら住民税が課税され、住民税非課税世帯ではなくなります。

住民税非課税のメリット

住民税が非課税になると社会保険料などに色々なメリットがあります。

高額医療費自己負担限度額

同じ医療機関で同じ月の中で限度額を超えて負担金を支払ったときは、超えた額が高額療養費として支給されます。

この自己負担限度額が、市民税非課税世帯の場合に低く設定されています。

支給される高額療養費
=高額医療費-自己負担限度額

▽70歳未満の被保険者の場合(一部)

所得区分自己負担限度額月額
直近12カ月での回数
3回目まで|4回目以降
総所得金額210万円以下57,600円44,400円
市民税非課税世帯35,400円24,600円

※総所得金額とは世帯の合計所得です。一人ひとりの所得は、「年金収入-120万-33万」で計算されます。

※過去12か月間に、一つの世帯で高額療養費の支給が4回以上あった場合、4回目以降の限度額を超えた分が支給されます。

国民健康保険料

国民健康保険料は、所得割・均等割・平等割の合計金額になります。

保険料の軽減は均等割・平等割の部分が、所得金額によリ7割軽減・5割軽減・2割軽減の軽減措置があります。

この軽減措置は住民税非課税で直接判断されるわけではありませんが、所得が低い場合に軽減を受けられることになります。

例えば、65歳以上で年金収入が223万円以下の世帯で均等割・平等割の部分が5割軽減になります。

詳しくは以下のページをご覧ください。

65歳からどうなる?年金受給者の国民健康保険
私は61歳から「特別支給の老齢厚生年金」を受給していますが、2019年8月に65歳になり、老齢厚生年金の本格支給が始まります。 65歳からの国民健康保険の内容がどうなるのか調べてみました。 年金からの特別徴収 国民健康保険料(75歳から後期高齢者医療制度保険料)、介護保険料、個人住民税は、年金の支給額から天引きして徴収されます。 特別徴収の対...

介護保険料

65歳になると「国民健康保険」から切り離されて「介護保険料」単独での徴収になります。

以下の条件で保険料段階が設定されています。

  • 本人の所得
  • 本人の住民税課税・非課税
  • 世帯の誰かの住民税課税・非課税

以下のページでは、本人が課税か非課税かで、年間26,000円の差が出る例が示されています。

65歳からどうなる?年金受給者の介護保険
介護保険料は40歳から納付が始まり、被用者保険料・国民健康保険料に含まれて徴収されます。 65歳になると介護保険の被保険者資格が第2号から第1号になり、原則、公的年金からの天引き…特別徴収…となります。 私も2019年8月で65歳になり、「介護保険第1号被保険者」ということになります。 65歳からの介護保険について調べてみました。 介護保...

臨時福祉給付金

平成26年4月の消費税率の引上げによる影響を緩和するため、暫定的・臨時的な措置として、平成26年度から29年度に「臨時福祉給付金」の支給が行われました。

対象は住民税(均等割)が非課税の人になります。ただし、課税されている方に生活の面倒を見てもらっている場合などは対象となりません。

今後同様な措置がある場合、住民税が非課税なら支給対象になると思われます。

2019年10月プレミアム商品券が購入可能に

住民税非課税世帯は、消費税増税に合わせて発行される「プレミアム商品券」が購入可能になります。

額面25,000円分の商品券が20,000円で購入でき、発行自治体の小売店で利用できます。

消費税増税対策「プレミアム商品券」、対象者は?年金受給者は?
2019年10月の消費税増税に合わせてプレミアム付き商品券が発行されます。 0歳~2歳児のいる世帯、住民税非課税の世帯などが購入可能になります。 現時点での概要をまとめておきました。 対象者 2016/4/2~2019/9/30に生まれた子供がいる世帯 住民税非課税世帯 低年金の世帯 金額 1枚の商品券の額面は500円(購...

その他の非課税メリット

自治体により、住民税非課税の世帯にはさまざまな特典があります。

  • 「高額介護サービス費」の利用者負担の軽減
  • 介護施設入居者の住居費・食費の軽減
  • インフルエンザ予防接種の費用の軽減・無料

あえて年金繰り上げ受給も…

公的年金の受給額が211万円をわずかに超える場合は、あえて繰り上げ受給の手続きをして年金額を下げる方法もあります。1カ月繰り上げるごとに0.5%ずつ受給額が下がります。

あえて年金額を下げて住民税が非課税になるようにして、非課税メリットを利用して実質の手取り額を増やす方法です。