年金にかかる「所得税および復興特別所得税」は偶数月に支払われる年金額から源泉徴収されます。
また、介護保険料、国民健康保険料(75歳以上は後期高齢者医療保険料)、個人住民税は、特別徴収として年金支払額から天引きされます。
この記事では、私の父に届いた令和元年度の年金振込通知書を例に65歳以上の年金にかかる源泉徴収の仕組みを確かめます。
父の年金支払通知書 令和元年6月
年金額は年度ごとに改定され、新年度の年金は6月に4月5月分が振り込まれます。
令和2年4月は、令和元年度の2月3月分が振り込まれます。
年金の振込日は原則偶数月の15日です。ただし、15日が土日、祝日のときは、その直前の日になります。
年金支払額
父の令和元年度の年金は年額2,413,147円です。
1回の支払額は2,413,147÷6=402,191円になります。この場合、1円未満は切り捨てられます。
すると、402,191×6=2,413,146円となり、年額との差が1円生じます。
この差額1円が2月分に加わって支払われます。
介護保険料
介護保険料の欄の金額15,300円は、前年度分の2月の金額と同額の仮徴収額となっています。
令和元年度の介護保険料は7月に届き、年額で92,400円でした。
各回の天引き額は以下になっています。
4月 | 6月 | 8月 | 10月 | 12月 | 2月 |
---|---|---|---|---|---|
15,300 | 15,300 | 15,400 | 15,600 | 15,400 | 15,400 |
各回の控除後振込額は、天引き額により再計算されることになります。
令和2年4月支払額の欄の介護保険料は、実際には2月分と同額の15,400円になり、令和2年度の介護保険料として徴収されることになります。
後期高齢者医療保険料
75歳になると、これまで加入していた国民健康保険や被用者保険からはずれて、一人ひとりが「後期高齢者医療保険」に加入することになります。
金額36,000円は、前年度分の2月の金額と同額の仮徴収額となっています。
令和元年度の保険料は7月に届き、年額179,400円でした。
各回の天引き額は以下になっています。
4月 | 6月 | 8月 | 10月 | 12月 | 2月 |
---|---|---|---|---|---|
36,000 | 36,000 | 36,000 | 23,800 | 23,800 | 23,800 |
所得税および復興特別所得税額
実際には、年金の支払額から2ヵ月分が控除されます。
2ヵ月分の控除額
- 公的年金等控除、基礎控除相当
2ヵ月分の年金額×25%+130,000円
支給額56万円以下の場合270,000円 - 配偶者控除 65,000円
- 扶養控除 65,000円×人数
源泉徴収額を計算します
- 年金支払額
402,191円 - 公的年金控除、基礎年金控除相当
270,000円 - 社会保険料
15,300+36,000=51,300円 - 源泉徴収額
(402,191-270,000-51,300)×5.105%
=4,129円
個人住民税額
個人住民税の年額は6月に通知され,121,800円になっています。
4月・6月・8月は前年の税額の1/6に相当する税額を仮徴収し、残額の1/3を10月・12月・2月に分けて納付します。
各回の徴収額は以下になっています。
4月 | 6月 | 8月 | 10月 | 12月 | 2月 |
---|---|---|---|---|---|
19,700 | 19,600 | 19,600 | 21,100 | 20,900 | 20,900 |
個人住民税は、所得税の控除対象ではありません。
控除後振込額
- 年金支払額
402,191円 - 控除額
15,300+36,000+4,129+19,600
=75,029円 - 控除後振込額
402,191-75,029
=327,162円
年金の源泉徴収額は支払額ごとに計算されます
年額の年金支給額にかかる公的年金控除額・基礎控除額は平成2年の税制で改正されました。
高額所得者を除き、公的年金控除額はマイナス10万円、基礎控除額はプラス10万円となり、結果的には控除額の合計額に変更はないことになります。
2ヵ月ごとに支払われる年金の源泉徴収額を算出する際は、公的年金控除と基礎控除に相当する金額がまとめて控除されます。