毎年6月に、新年度の「年金額改定通知書」と「年金振込通知書」が通知されます。
本記事では2024年6月に通知された「年金振込通知書」の内容について確認します。
年金額改定通知書・年金振込通知書【2024年6月】
▼年金額改定通知書
▼年金振込通知書
「年金額改定通知書」の金額については以下の記事で詳しく紹介しています。
6月の支払額「326,556円」について
年金額の2ヵ月ごとの支払いは、基本的には、基礎年金・厚生年金の年額をそれぞれを6等分し、1円未満の端数を切り捨てして合計します。総額を6等分するのではありません。
年金額改定通知書の厚生年金加給年金額に「408,100円」とありますが、配偶者加給年金は配偶者が65歳になると支給停止になり、私の場合2024年4月で妻が65歳になるので、5月分から支給停止になります。
したがって、加給年金は4月分の1ヵ月分だけが加算されています。
- 基礎年金
784,415÷6=130,735.833 - 厚生年金基本額
970,880÷6=161,813.333 - 加給年金額
408,100÷12=34,008.333 - 合計
130,735+161,813+34,008
=326,556円
8月~12月、来年4月の支払額「292,548円」
支払額は加給年金が支払停止になった金額になっています。
- 基礎年金
784,415÷6=130,735.833 - 厚生年金基本額
970,880÷6=161,813.333 - 合計
130,735+161,813=292,548円
2月の支払額は「6円」が加算されています
2月の支払期は、各支払期で切り捨てた端数の合計額を加算します。
4月から2月までの6回の支払期に生じた端数を合計し、その合計額の1円未満を切り捨てて、2月の支払額に加算します。
この計算は基礎年金・厚生年金のそれぞれで行われます。
4月支払は前年度分年金の6回目の支払いになるので、前年度1回分の端数と当年度5回分の端数の合計になります。
年度 | 種別 | 年額 | 6等分 | 端数 |
---|---|---|---|---|
2023 | 基礎年金 | 764,370 | 127,395.000 | 0.000 (0/6) |
厚生年金 | 1,343,191 | 223,865.166 | 0.166 (1/6) | |
2024 | 基礎年金 | 784,415 | 130,735.833 | 0.833 (5/6) |
厚生年金 | 970,880 | 161,813.333 | 0.333 (2/6) | |
加給年金 | 408,100 | 34,008.333 | 0.333 (4/12) |
- 基礎年金端数額
0.000×1+0.833×5=4.165 ≒ 4円
(0×1+5/6×5=4と1/6) - 厚生年金端数額
0.166×1+0.333×5+0.333×1=2.164≒2円
(1/6×1+2/6×5+4/12×1=2と1/6) - 合計
4円+2円=6円
加給年金で切り捨てられた0.333も加算されています。
介護保険料 7,300円
介護保険料は、年間の保険料を4月から翌年2月までの年金支払月(年6回)ごとに、年金から天引きで納付します。
- 仮徴収期間(4月、6月、8月)
前年度の2月分と同額の保険料を納付してます - 本徴収期間(10月、12月、翌年2月)
年間保険料額から、仮徴収期間に納付した保険料合計額を差し引いた保険料額を3回に分けて納付してます
介護保険料は3年ごとに改定され、令和6年度は改定年度になります。
私の自治体では約9%増額される予定なので、10月以降の天引き額が増額されることになります。
国民健康保険料はまだ天引きされていない
国民健康保険料は世帯単位で徴収され、世帯の国民健康保険加入者全員が65歳から74歳までの場合に、年金から天引き(特別徴収)されます。
私の場合、妻との二人世帯で、これまでは妻が65歳未満だったので特別徴収されていませんでした。
今回の年金振込通知書でも、国民健康保険料の記載はありませんが、令和6年4月で妻が65歳になり、どこかの時点で特別徴収に切り替わると思われます。
所得税 源泉徴収額0円
2024年(令和6年)6月から納税者を対象とした所得税3万円、個人住民税1万円の特別控除(定額減税)が実施されます。年金収入も対象になります。
ここでは、定額減税がない場合の源泉徴収税額について計算してみます。
年金収入の所得税の計算方法
年金収入に対するの控除額は以下の通りです。
▼所得税控除額(年額)
控除の種類 | 条件 | 控除額 |
---|---|---|
公的年金等 控除 | 65歳以上 年金額330万円以下 | 110万円 |
基礎控除 | 合計所得金額2,400万円以下 | 48万円 |
配偶者 控除 | 本人合計所得金額900万円以下 配偶者合計所得金額48万円以下 | 38万円 |
社会保険料 控除 | - | 実費 |
▼所得税控除額(源泉徴収 1ヵ月あたり)
控除の種類 | 控除額(65歳以上) |
---|---|
公的年金等控除 +基礎控除 | 1ヵ月分年金支払額×25%+6.5万円 1ヵ月分28万円以下なら13.5万円 |
配偶者控除 | 32,500円 |
社会保険料控除 | 実費 |
年金は2ヵ月分ごとに支払われるので、控除額も2ヵ月分になります。
公的年金等の支払いを受けるときは、原則として、年金支払額から各種控除額・社会保険料を差し引いた額に、5.105% を乗じた金額が源泉徴収されます。
6月の源泉徴収額
源泉徴収額
= (年金支給額-各種控除額-社会保険料)
× 5.105%
- 公的年金等控除、基礎控除(65歳以上)
135,000円×2ヵ月分=270,000円 - 配偶者控除
32,500円×2ヵ月分=65,000円 - 社会保険料 7,300円
319,256-270,000-65,000-7,300=-23,044円
源泉徴収額=0円× 5.105%=0円
(1円未満切り捨て)
定額減税がなくても所得税の源泉徴収額は0円でした。
個人住民税は非課税です
私は個人住民税が非課税です。
私の住んでいる自治体では以下のルールで個人住民税を年金から特別徴収します。
4月・6月・8月 | 10月・12月・2月 |
---|---|
仮徴収 | 本徴収 |
前年度年税額の1/2 を1/3ずつ | 「年税額-仮徴収税額」 を1/3ずつ |
個人住民税は前年所得により算出されます。
一昨年度の所得により昨年度の個人住民税が非課税だったので、4月・5月・6月は徴収額が0円になっています。
今年度の住民税も非課税になるので、10月・12月・2月も徴収額は0円になるはずです。
年金受給者の確定申告不要制度
下記の1、2のいずれにも該当する人は確定申告が不要です。
- 公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる
- 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である
ただし、住宅ローン控除、医療費控除などで所得税の還付が受けられる可能性がある場合は、確定申告書を提出する必要があります。
私は細々と個人事業を営んでいるので、毎年確定申告をしています。
まとめ
今回の振込通知書は来年の4月分まで通知されていますが、10月分から介護保険料が変更されることになり、振込金額が変更されると思われます。
今年度の年金額は、妻が65歳になり配偶者加給年金が支給停止になるので、定額減税がなかったとしても所得税は発生しません。