40歳になると「介護保険第2号被保険者」として介護保険料の納付が始まります。
会社員などは給与からの天引きで、個人事業主などは国民健康保険料に含まれて徴収されます。
65歳になると介護保険の資格が第2号から第1号に変わり、それに伴って、原則、公的年金からの天引き…特別徴収…となります。
私も2019年8月で65歳になり、「第1号被保険者」ということになりました。
65歳からの介護保険について調べてみました。
介護保険被保険者1号2号とは
65歳以上の人は「介護保険第1号被保険者」、40歳以上65歳未満の人は「介護保険第2号被保険者」と定められています。
第1号被保険者…65歳以上の人
原因を問わず、要介護あるいは要支援状態と認定されると介護サービスを受けられます。保険料は個人単位の負担となり、原則、公的年金からの天引き…特別徴収…となります。
第2号被保険者…40歳以上65歳未満の人
加齢を原因とする特定疾病により介護が必要と認定された場合に限り介護サービスを受けられます。保険料は、被用者の場合は給与からの天引きで、それ以外の場合は国民健康保険料の中の介護分として支払います。
40歳以上65歳未満第2号被保険者の介護保険料
被用者健康保険に加入している人
給与の標準報酬月額や標準賞与額に介護保険料率を乗じて算出し、事業主と折半して給与・賞与から天引きされます。例えば「協会けんぽ」の場合の介護保険料率は1.79%(令和2年3月~)です。この金額の1/2が本人負担分として給与から天引きされます。
国民健康保険に加入している人
国民健康保険料は医療分・高齢者医療支援分・介護保険分の合計金額になっており、介護保険料は国民健康保険に含まれて徴収されています。市区町村ごとに算出式が定められていて、世帯単位の支払いになります。
国民健康保険については下記へ
65歳以上第1号被保険者の介護保険料
65歳になり第1号被保険者に変わると介護保険料は個人単位の徴収になります。
被用者健康保険・国民健康保険から分離され、年金からの天引き(特別徴収)になります。
ただし、特別徴収が始まるまでは納付書による納付(普通徴収)になります。
被用者健康保険の場合、被扶養者に第2号被保険者がいる場合、「特定被保険者」として介護保険料の天引き徴収が続きます。
国民健康保険の場合も、世帯のなかに第2号被保険者がいる場合は、その人の介護分の徴収が残ります。
介護保険料特別徴収の対象者
- 当該年の4月1日現在において、65歳以上であること。
- 当該年の4月1日現在において、特別徴収の対象年の支払額が年額18万円以上であること。
私の場合は…
2019年8月で65歳になり、2020年4月の時点で特別徴収の対象者になります。
介護保険は、2019年8月分から2020年3月分までは普通徴収で納め、4月分から特別徴収が始まりました。
介護保険料の算定方法
65歳以上の介護保険料は、市区町村ごとに標準額と保険料段階を定めて決定します。
標準額は市区町村内の介護サービスにかかる費用により、市区町村ごとに定められています。
保険料段階は市民税の課税・非課税と本人の所得によリ定められ、標準額に保険料段階の倍率を乗じて介護保険料を決定します。段階の分け方は市町村により様々です。
標準額と保険料段階の例
月額(平成30~32年度)
- 全国平均:5,869円
- 最低額 :3,000円(北海道 音威子府村)
- 最高額 :9,800円(福島県 葛尾村)
市区町村 | 標準額 年額(円) | 標準額 月額(円) | 保険料 段階 | 倍率 |
---|---|---|---|---|
札幌市 | 69,275 | 5,773 | 13 | 0.45 ~2.30 |
世田谷区 | 77,400 | 6,450 | 17 | 0.45 ~4.2 |
名古屋市 | 76,696 | 6,391 | 15 | 0.4 ~2.5 |
大阪市 | 95,124 | 7,927 | 11 | 0.5 ~2.0 |
福岡市 | 72,933 | 6,078 | 13 | 0.4 ~2.5 |
段階ごとの保険料の例<広島県福山市>
標準額が全国平均に近い広島県福山市の保険料段階と段階ごとの保険料を例示します。第5段階が標準額になっています。
保険料段階 | 料率 | 保険料 年間(円) | 保険料 月額(円) |
---|---|---|---|
第1段階 | 0.45 | 31,700 | 2,642 |
第2段階 | 0.70 | 49,300 | 4,108 |
第3段階 | 0.75 | 52,800 | 4,400 |
第4段階 | 0.83 | 58,400 | 4,867 |
第5段階 | 1.00 | 70,400 | 5,867 |
第6段階 | 1.12 | 78,800 | 6,567 |
第7段階 | 1.25 | 88,000 | 7,333 |
第8段階 | 1.50 | 105,600 | 8,800 |
第9段階 | 1.65 | 116,200 | 9,683 |
第10段階 | 1.80 | 126,700 | 10,558 |
第11段階 | 1.95 | 137,300 | 11,442 |
第12段階 | 2.10 | 147,800 | 12,317 |
段階ごとの基準<広島県福山市(一部)>
判定金額
=公的年金等の収入金額
+合計所得金額-公的年金等の所得金額
- 第3段階
世帯全体が市民税非課税
本人の前年の判定金額が120万円超の人
- 第4段階
本人が市民税非課税
世帯の誰かが市民税課税
本人の前年の判定金額が80万円以下の人
- 第5段階
本人が市民税非課税
世帯の誰かが市民税課税
本人の前年の判定金額が80万円超の人
- 第6段階
本人が市民税課税
本人の前年の合計所得金額が120万円未満の人
- 第7段階
本人が市民税課税
本人の前年の合計所得金額が120万円以上200万円未満の人
※公的年金等の収入金額には、遺族年金や障害年金などの非課税年金は含まれない。
※合計所得金額とは、収入から必要経費相当額を差し引いた所得控除前の所得を合計したもの。
判定金額
=公的年金等の収入金額
+合計所得金額-公的年金等の所得金額
この判定金額について説明します。
ここで使われている「所得」とは、以下のような所得のことです。基礎控除・配偶者控除・扶養控除などの所得控除を差し引いた「課税所得」ではありません。
- 事業所得=収入-必要経費
- 給与所得=収入-給与所得控除
- 年金所得=公的年金収入-公的年金控除
「合計所得金額-公的年金等の所得金額」という部分ですが、「合計所得金額」には「公的年金等の所得金額」も含まれています。 そこから「公的年金等の所得金額」を引き算するということなの、この部分は「公的年金等の所得金額以外の所得金額」ということになります。
すなわち、「判定金額=公的年金等の収入金額+公的年金等の所得金額以外の所得金額」と言いかえられます。
仮に公的年金以外の所得が無い場合は「判定金額=公的年金等の収入金額」ということになります。
年金額による介護保険料を試算します
以下の条件で、夫の介護保険料を福山市の条件に当てはめて試算します。
- 夫婦二人世帯
- 夫65歳以上 公的年金収入のみ
- 妻は住民税非課税
この場合、夫の公的年金収入が211万円以下なら夫の住民税が非課税になり、住民税非課税世帯になります。
夫の年金が211万の場合
世帯全体が非課税・判定金額211万円
→第3段階(0.75倍)
→介護保険年額52,800円
夫の年金が212万の場合
本人が課税になります
公的年金等控除は120万円になり、年金所得は92万円となります
→第6段階(1.12倍)
→介護保険年額78,800円
年金211万円の壁
年金収入が211万円から1万円増えると、介護保険が年額で26,000円も増えてしまい、手取りで16,000円減ってしまいます。
これがいわゆる「年金211万円の壁」です。
他にも住民税が非課税になることによリ様々なメリットがあります。
公的年金収入が211万円をわずかに超える場合、繰上げ受給して211万円以下に抑えるという方法もあります。
配偶者の非課税について
夫が211万円の壁をクリアして非課税になっても、妻が課税になると第3段階にはなりません。
妻の課税・非課税の壁は「所得35万円」です。以下の収入金額なら住民税が非課税になります。
- 給与収入なら
35万+給与所得控除65万=100万円 - 65歳未満の年金収入なら
35万+公的年金控除70万=105万円 - 65歳以上の年金収入なら
35万+公的年金控除120万=155万円
65歳から支給される老齢基礎年金は満額で78万円程度です。老齢基礎年金だけなら住民税は非課税になります。
※住民税の基礎控除は33万円で、住民税は65万+33万=98万円を超えた金額にかかりますが、課税・非課税の判断については「35万円」を使います。
私の場合は…
2019年8月で65歳になり、9月分より老齢基礎年金と老齢厚生年金の本来支給が始まります。老齢基礎年金・報酬比例部分・配偶者加給を合計して年額206万円~207万円程度になる計算です。
私も妻も住民税が非課税で、住民税非課税世帯になります。
私の住んでいる自治体の基準額は60,000円程度で、倍率は0.7倍になり、介護保険料は42,000円程度になる計算です。